アラーフ! 厳格なドイツ人が、ハメを外すお祭り松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年02月22日 07時59分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 ちなみにケルンをはじめとするドイツ語圏のカーニバルの正式開始日は毎年11月11日と決まっている。1823年にケルンのカーニバル運営委員会が決定して以来の習慣だが、なぜ11月11日かといえば「それが奇妙な数字だから」。モーゼの10戒より1つ多く、キリストの弟子の数に1つ足りない。時計の12時の少し前で、ただ通り過ぎてゆく時刻。それに、ぞろ目は特別な数字で、それが並ぶからなお奇妙だ。ただし、仮装した人たちが街に繰り出しパレードが行われるのは灰の水曜日までの1週間で、今年は2月16日の11時11分きっかりに「本番」が始まった。普通はこの期間を指してカーニバルと呼ぶ。

 「11」への奇妙なこだわりでも分かるように、カーニバルは一事が万事倒錯している。何も知らない日本人がカーニバル時期にケルンを訪れたとすれば、厳格なドイツのイメージが崩れ去るに違いない。仮装して酔っ払った人たちが「アラーフ!」(特別な意味はない)と叫びながら練り歩く姿に圧倒されるだろう。

 16日にカーニバルの様子を撮影していたら、中年のドイツ人女性が近寄ってきて笑いながらコートの前を急に大きく開いた。何かと思ったら、コートの中は裸の絵が描かれたシャツで「露出狂になりきっている」ということらしい……。さすがに本当の裸をさらしたら巡回する警官に捕まるが、もしかしたら昔のカーニバルは露出も許されていたのかもしれない。

ケルン駅にて。仮装した人々が平然と歩いている光景からしてどこかヘン

女性グループの一団(左)、手作りコスチュームで楽しむ(右)

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