若きビジネスパーソンよ、「食べログ」なんかいらない相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年01月19日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 今月初め、飲食店の人気ランキングサイト「食べログ」に大問題が発生したのは多くの読者がご存じの通り(参照リンク)。特定の業者が金銭を受け取ったうえで好意的な口コミを寄せる“やらせ”行為が発覚したのだ。若い世代の仕事仲間に尋ねると、同サイトは打ち合わせや食事会の設定に重宝する存在だったとかで、やらせ問題に戸惑う向きも多いようだ。

 今回は、バブル世代の筆者が、僭越(せんえつ)ながら若きビジネスパーソンにアドバイスを贈らせていただく。食べログなんかいらない。「馴染みの店」を作ることで、問題は解決するのだ。

「食べログ」で、やらせ業者によるランキング操作が問題となった

ベテランバンカーの教え

 本コラムで何度か触れてきたが、筆者は通信社の経済部に長年勤務した。多くの企業や役所を取材したが、衆人環視のオフィスでディープな情報を得たことはほとんどない。ネタ元も組織に属している以上、記者に情報を漏らしたことを同僚に疑われたくないからだ。

 このため、突っ込んだ取材を行う際は取材対象者の勤務先から離れ、かつ同業者のこない居酒屋やレストラン、バーを利用する機会が多かった。

 筆者の古巣は、大手マスコミの中でも特に経費管理が厳格なことで知られ(要するにケチだった)、交際接待費の類いはほぼゼロ。よって、通常の取材に伴う飲食費は全て持ち出し。1カ月で10万円程度の出費はザラだった。

 一方、取材される側の企業幹部や官僚の多くは、他のマスコミの飲食付き取材で舌の肥えた面々ばかり。かといって、他のマスコミが利用するような高級店を自腹で訪れるのは限界があった。そこで筆者は先輩や友人のツテをたどって「安くてウマい」店を必死で探し歩いたのだ。

 中華ならばこの店、和食はあそこ、イタリアンならばあのシェフといった具合。もちろん自腹取材なので、料金は「2人で1万円以内(飲料込み)」といった条件を付け、都内を中心に回ったのだ。

 筆者がこつこつとリストを作り始めて2年程度経ったころ、ある大手銀行幹部と懇意になった。

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