そのパッケージングはいらない!? コンテンツをどう売ればいいのかちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2011年12月05日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

豊かさになると趣味嗜好が多様化する

 最近、メディアの世界では「パッケージング」で価値を出す(もうける)ことがとても難しくなっています。個々人の趣味嗜好が多様化してきたため、一般的なパッケージングに満足する人が少なくなってきたからです。

 貧しい時代はみんなの希望が同じです。まずは「おなかいっぱい食べたい」と思い、次に「家にテレビや冷蔵庫が欲しい」と思います。貧しいと「欲しいもの」が同じになるのです。

 でも、豊かになると人によって欲しいモノが変わってきます。クルマが欲しい人もいますが、要らないという人もいるし、海外旅行に行きたい人もいるけれど、興味がない人もいます。肉が好きな人もいるけどベジタリアンも現れる、といった具合です。ひと言で言えば、「豊かになる」とは「多様になる」ということなのです。

 情報への要求に関しても同じことが起こっています。情報が乏しい時代は、みんなが必要と思う情報は画一的でした。だから、新聞やテレビは「マス」に対して、一般的な情報を取りそろえて提供していればよかったのです。

 ところが、豊かになって社会の同質性が低くなると、「自分はこの分野の話だけを詳しく知りたい。ほかの分野には関心がない」と、個人の情報ニーズが分化してきます。誰も彼もが「昨日の野球の結果を知りたい」わけではなくなるのです。このため「政治経済からスポーツ分野まで、一般的な情報を一通り揃えています」というマスメディアで満足できる人が減少しています。

 また、ネットにはRSSなど「個人のためのパッケージングツール」もありますし、Twitterもフォローする人を選ぶことで自分が見たい情報をパッケージングすることができます。テレビでもCSの専門チャンネルを自分で組み合わせて視聴する人が増えています。

 このように、自分でコンテンツを好きなように組み合わせることができる時代になり、“万人向け”のパッケージング・メディアが衰退しつつあるというのが、マスメディアから専門メディア、ネットメディアへの流れの1つの特徴です。

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