そのパッケージングはいらない!? コンテンツをどう売ればいいのかちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)

» 2011年12月05日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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パッケージング・メディアの衰退でコンテンツ価格が低下

 そしてこれと同時に起こっているのが、情報コンテンツ価格の急激な低下です。ここのところ、映像にしろ文章にしろ音楽にしろ、すべての情報コンテンツの値段が下がっています。

 これも、従来のパッケージング・メディアの「見せ方」「売り方」が時代遅れになり、コンテンツを高く売ることができなくなったからでしょう。

 コンテンツの価格はそれ自体の価値だけではなく、やはり「それをどう見せるか、どう売るか」という仕組みに依存します。今までは、新聞や地上波テレビという圧倒的な力を持ったパッケージング・メディアが存在していました。だからコンテンツにそれなりの値段が付いていたのです。

 しかし、パッケージング産業が(上に書いたように)市場の多様化についていけずにその価値を落としてしまったため、多くのコンテンツクリエーターや制作会社スタッフはワーキングプア状態に追い込まれつつあります。

 海外の販路が新たに拡がりつつある漫画でも、そのパッケージングで一番もうけているのは漫画家でも日本人でもなく、外国人アニメファンの周囲にいる人たちだったりします。

 コンテンツの価格が下がっているのは、コンテンツの価値が下がったからではなく、パッケージングメディアの価値が下がったから、というのは皮肉なことです。

 これから誰かが「情報」という分野に関して、「お金がとれる(=消費者がお金を払っても手に入れたいと思う)」新しいパッケージングの方法を生み出さない限り、コンテンツクリエーターにとっては受難の時代が続くことでしょう。

 そんじゃーね。

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著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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