インタビュー
» 2011年11月11日 08時00分 UPDATE

インモビ・ジャパン天畠社長に聞く、モバイル広告市場の未来 (1/4)

急速に拡大するモバイル広告市場でアドネットワークを展開しているインド発のベンチャー企業、InMobi(インモビ)。9月にソフトバンクから2億ドルの出資を受けたことが話題ともなったが、インモビ・ジャパンの天畠秀隆社長にモバイル広告市場の現状と未来を尋ねた。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 スマートフォンやタブレット型端末の普及で、急速に拡大するモバイル広告市場。その市場でアドネットワーク※を展開し、有力なプレイヤーとなっているのがインド発のベンチャー企業、InMobi(インモビ)だ。2010年5月にグーグルが買収したAdMob(アドモブ)と激戦を繰り広げており、2010年夏にはインモビ・ジャパンを設立して日本に進出、2011年9月にはソフトバンクから2億ドル(約174億円)の出資を受けたことが話題ともなった。

※アドネットワーク……一事業者が複数の媒体社のWebサイトを広告配信対象としてネットワークし、広告受注を請け負うサービスのこと。

 拡大する市場のトップランナーは何を見ているのか。インモビ・ジャパンの天畠秀隆社長にモバイル広告市場の現状と未来を尋ねた。

ah_inmobi1.jpg インモビジャパンの天畠秀隆社長

リッチメディア広告に注力

――インモビのサービスについて教えてください。

天畠 私たちはアドネットワークという商売を世界中でやっていて、スマートフォンやタブレットなど、新しいデバイス上で広告主とメディアとをつなぐ仕事をしています。次の動画は最近の例なのですが、サムスンの広告です。

Immersive 3D Ads for iPad from InMobi and AdJitsu by Cooliris: Samsung

 見ていただくと分かるのですが、もう広告というよりサービスなんですね。広告がコンテンツの一部になってしまっているのですが、次のフェイズとしてこうしたことに注力していこうとしています。今までのインターネット広告は、単純に企業サイトに誘導して終わり、もしくは会員登録やアプリをダウンロードさせてというのもありますが、もう中身が変わってきているんですね。

 こうしたリッチメディア広告※は今まで、HTML5でコーディングしないと作れなかったのですが、Sprout(スプラウト)のAdVineというツールを使うと、HTML5を知らなくても、Photoshopのような操作感で作れてしまうんです。インモビは8月、このスプラウトを買収しました。

※リッチメディア広告……インターネット上の広告に音声や動画を用いたり、ユーザからの応答を受け付けられる仕組みを付加したもの。

 先ほどのサムスンのような広告は、制作にとても時間がかかるだけでなく、コストもかかっていました。通常、自分でHTML5でああいう広告のコーディングをすると3週間くらいかかって、コストも1万ドル(約77万円)くらいかかっていました。でも、AdVineを使うと、素材さえあれば45分くらいで作れて、しかもインモビを通していただければツールを使うこと自体は無料です。手のかかった広告を作ろうとしても今まではなかなかできなかったのですが、広がっていく可能性が出てきています。

 しかも、iPhoneなどのスマートフォンやタブレット型端末は、グローバルでオープンなプラットフォームなので、こうした広告をグローバルに出せるというのがインモビの強みです。

――モバイルアドネットワーク業界全体の状況について教えてください。

 業界1位は月間750億インプレッション※のアドモブ、2位が月間500億インプレッションのインモビ、3位がちょっと離れて月間230億インプレッションのミレニアムメディアです。

※インプレッション……Webサイトにインターネット広告が表示される回数。

 インモビとアドモブは全世界で展開しているのですが、ミレニアムメディアは米国だけ。地域別にみると、米国や欧州ではアドモブが1位ですが、アジアやアフリカではインモビが1位です。

 インモビはスタートした時はアジア圏に集中していて、米国や欧州のインプレッションはあまりなかったんですね。直近ではアジア圏の割合が下がってきていますが、アジア圏の中でも中国や韓国、香港などは伸びていますね。ラテンアメリカも結構伸びています。

 今、いろんなプレイヤーが買収などでグローバルに展開しようとしていますが、現地にセールスオフィスを持って展開しているのはインモビだけです。

――セールスオフィスはどの地域に置いているんですか?

 メインオフィスはもちろんインドのバンガロール。アジアではあとはシンガポール、ソウル、東京。米国ではサンフランシスコがリージョナルオフィスで、ニューヨークにもオフィスがあり、アフリカでは南アフリカ、欧州ではロンドンがリージョナルオフィスで、パリ、ドイツ、イタリアにもオフィスがあります。ラテンアメリカも、ブラジルにオフィスを開きました。

 どこが伸びるかというのを、ちゃんと見ていますね。マーケットの成長性と、そこにどういうお客さんがいるかを見た上で、タイミングをはかりながらネットワークを広げています。

――リッチメディア広告を展開する企業としては、北米や欧州に強くて、アジアやアフリカで弱くなりそうな印象もあるのですが、アジアやアフリカで強いのはなぜですか。

 インモビのリッチメディア広告の例は不思議なことにアジアが一番多いんですね。フィーチャーフォン主体のテキスト広告という、僕たちが持っているアジアの印象は、もう変わりつつあるんです。ヤマハやアディダス、ナイキの広告はリッチメディアでやっているのですが、全部アジア向けなんですよ。

 それは多分、(リッチメディア広告を展開する)インモビがアジアで強いからということもあると思います。北米でインモビは、ミレニアムメディアやアドモブに負けているので、そういう意味で十分できていないのかもしれません。

――アフリカでインプレッションが多いのはなぜですか。

 私もインモビに入社した時に結構驚いたのですが、南アフリカやケニア、ナイジェリアやアルジェリアのトラフィックが結構あるんですよ。

 今、ものすごい勢いでモバイルネットワークが整備されているんです。特に中国企業が、モバイルのインフラをタダで提供する代わりに、資源をくださいということで随分入りこんでいます。

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