30歳で身に付けないと、みじめになる「考え方」吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年10月21日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

ゆがんだ競争を正当化?

 ところが、一定の結果を出した人はそのゆがんだ競争を「公平」という言葉を持ち出したりして、正当化しようとする。そこまで言わずとも、自分が出した結果をいろいろな理由を付けて、正当化する。

 私は、その考えには疑問を呈したい。繰り返すが、職場に「公平」などあるわけがない。ここで、興味深い本を紹介しよう。『人はなぜ悪口を言うのか?』(毎日新聞社、齋藤勇)。10年近く前に、ベテランの心理学者により書かれたものだが、「職場の悪口の心理分析」「男と女の悪口の心理分析」などについて説明がなされている。

 この中で、次のような記述がある。

 「一般に有能で正義感の強い人ほど、組織の公平性に疑問を持たず、うまく立ち回れない人間をダメ社員呼ばわりし悪口を言いやすい。しかし現実は、公平な部分は重要視されるべきだが、人生は1回きりの勝負なので運不運が作用するのである。人生はもともとアンフェアーなのである」(58ページより抜粋)

 さらに、このような説明もある。

 「世の中は皆に公正な正義が支配している。だから、正しい行いをして、公正なチャンスをまともに生かしている人間なら、意味もなく、罰を受けたりはしない。もし罰を受ける人がいるとすれば、その本人に責任がある。人格者は評価され、正しい行いは称賛されるのと同じように、人格の劣る人は非難され、まちがった行いは罰を受ける……。そういう考え方が、多くの人間にしみついているというわけだ」(56ページより抜粋)

 齋藤氏によると、この考え方は、ラーナーという心理学者が「公平性の信奉」と名づけたものだという。

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