30歳で身に付けないと、みじめになる「考え方」吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年10月21日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 今回は、会社員が30歳で身に付けないと、みじめな思いになる「考え方」を紹介したい。これは私の経験論であり、取材先や取引先を観察していて感じ取ることでもある。

 大学を卒業後、新卒で入社し、この年齢になるまでには同世代の社員との競争で、ある程度の結果が出ている。それが賃金などに大きく反映されるまでには至っていないが、少なくとも「彼は、なかなかデキル」といった評判は定着しているころだ。

 その上で、30歳の時点では確実に心得えておきたい「考え方」とは、次のようなものである。結論から言えば、周りの社員が口にする「公平」という言葉にだまされないことだ。そして、「公平」という考えに必要以上に影響を受けないこと。

 例えば、営業部に20代後半の社員が5人いたとする。それぞれの担当地域や交渉先があるわけだが、それは上司が通常決めるものだ。そして半年くらい経つと、一定の結果が出る。稼ぐ人もいれば、稼ぐ額がほかよりも少ない人もいるに違いない。

 これが1年、2年、3年と続くと、暗黙の了解で5人の社員の中で序列ができ上がる。「あいつが1番稼ぐ。2番目は俺で、3番目は彼女で……」といったものだ。そのような心理になるのは当然のことだろう。

 問題は、ここからである。ここで稼ぐ人は得てして、稼ぐ先輩や上司らと関係が深くなる。稼がない人よりは、話し合う機会や時間も多いに違いない。そうなると、5人の営業部員の中で、1つの構図ができ上がる。例えば、「1番稼ぐあいつは、上司たちにかわいがられて……俺は2番だから、あまり大切にされていない……」といった人間関係のようなものである。

 ここからが、注意すべきことである。ここで1番稼ぐ社員は足元を固め、自らのバックに先輩や上司を置く。すると、妙に生意気なことを言い出す傾向がある。例えば、「稼げない奴が悪い。5人は同じ時期にスタートし、担当地域や交渉先を与えられ、その結果、生じた結果だ。つまりは公平だ」といったことだ。

 それを聞いたあなたは、あえて口論をする必要はないが、心の中でこんなことを言い聞かせよう。

 「公平な競争? そんなものが、あるわけないだろう。10年のキャリアすらない中で、知ったかぶりでもの申すなよ。

 上司が主観で、それぞれの担当地域や交渉先を決めただけだ。当然、そこにはアンフェアなものがある。上司には、こんな心理が働いていたはずだ。

 『あいつをこのエリアで営業させると、契約が成立しやすくなる』とか『こいつは生意気で、来年の人事異動でほかの部署に出すから、あえてこの地域を担当させる必要はない』。ここに、公平性はあるのか?」

 これは私の持論だが、そもそも会社というさまざまなしがらみの中で仕事をしていく時、隅々までにおいて公平な判断や評価などができるわけがない。例えば、人事異動においても、「公平」という基準すら設けることができないではないか。

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