30歳で身に付けないと、みじめになる「考え方」吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年10月21日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

「公平性」という言葉

 ここからは私の解釈であるが、前述の例でいえば、5人の営業部員の中で最も稼ぐ社員は、恐らくこの考え方に影響を受けているのではないだろうか。

 誤解がないように言うと、競争である以上、勝つことに意味がある。「参加することにこそ、意味がある」などと空想めいたことを言うつもりは私にはない。まして職場は競争社会。結果を出さないと、話にならない。

 ただし、30歳前後で「勝てば官軍」的に、自分がわずか数年の競争で大きな結果を出したかのように、実績を誇張したりすることには、私はどうも冷めた目で見てしまう。さらには、その競争を「公平」と称して、自分の扱いを正当化することには強い疑問を感じる。

 この20数年、そのような会社員をたくさん見てきたが、30歳前後でいきがっていても、30代半ば、後半、40代とキャリアを積んでいくと、その多くは行き詰まっていく。もしかしたら、かつての私もその1人であったのかもしれない。そのような経験があるからこそ、「公平性の信奉」について考えてみることは大切だと思う。

 この考え方に影響を受けるのは、30歳前後の時期だけではない。人が生きていく限り、影響を受けていくものなのだろう。だが、かすかな結果でしかないのに、まるで何かにとりつかれたように実績を誇張し、「勝者」であるかのように振る舞う人が現れるのも、この時期ではないだろうか。

 逆に言えば、この考え方をする社員が同世代に現れるだけに、結果を出すことができていない人は振り回されないことが大切だ。30歳の時点で「自分はダメ」と追い詰めてはいけない。焦らなくとも、「ダメだ」と思わざるを得ない時は40〜50代で数え切れないくらいにある。

 その意味で、会社員が30歳で身に付けないと、まさにみじめな思いになる「考え方」なのだ。改めて「公平性」という言葉について考えたい。

関連キーワード

考え方 | 上司 | 会社 | キャリア | 仕事


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.