「アナログは疲れますね」JNTHEDというアーティスト(2/3 ページ)

» 2011年08月29日 15時18分 公開
[草野恵子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

――その一方で、個人としても絵を発表されていたんですよね

 そうですね。ネット上での同人活動、自分のホームページが活動の原点かもしれません。自分のホームページは1998年からやっていて、当時は絵を描いている仲間同士の狭いコミュニティが自然と出来上がっていて、基本的に絵を描かない人が僕らのテリトリーに入ってくることはありませんでした。でも、pixivの登場でそこに風穴があけられたと思いますね。

――今回の個展を開くきっかけをお話ください

 pixivの企画で「P1グランプリ」というのがありまして、その審査員として村上隆さんとご一緒しまして。その飲み会の席で、僕がアナログの絵を描きたいという欲求があると村上さんにお話したら、「三芳のスタジオで、練習がてら描いてみる?」と言われて、単純に面白そうと思ったんです。それが今年の新年会の席上のこと。だから、僕がアナログの絵を書き始めたのは今年からということになります。

エキサイトイズム

――実際にデジタルからアナログにツールを乗り換えてみて、いかがですか

 僕が描いているキャンバスのサイズのせいもあるんですけど、アナログは疲れますね(苦笑)。10年間椅子に座って描いてばかりだったので……。絵を描くのって手も足も使うし、中腰やしゃがんだり、脚立にあがったりと、とにかくすごい運動量ですね。Photoshopだったら新規書類つくるのはタダですけど、ここで150号の新しいキャンバスを使おうとしたら、それだけで万単位のお金がかかる。一つひとつのキャンバスに覚悟がいるんですよね。その辺りの感覚がぜんぜん違う。CGであれば10手くらい進んでから「あ、この10手間違いだったかな」と思えば10手戻れるんですけど、キャンバスでは戻れない、先にずっと進むしかない。

エキサイトイズム

 そういう意味では、価値観とか考え方が変わりすぎちゃって、昔の自分とは会話できないような気がしますね。しかも、昔の自分を説得するつもりもないんですよ。本当に分からない、やってみなきゃ分からないことだなと。昔の自分は「やって分かってしまったら負けなんだよ」という考え方だったんですよね。ネット上で何もせずに偉そうなことを言ってる人たちの基本的な考え方って、「やらない方が見える世界がある。やったら見えなくなってしまうのがある」ということなんです。僕はずっとそのスタンスだったんですけど、やっぱり「先に進む」というのは捨てていくものなので。

エキサイトイズム

Copyright (C) 1997-2014 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.