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» 2011年07月20日 08時00分 UPDATE

DVDだけではないビジネスを模索したい――フジ・ノイタミナプロデューサーが語るアニメの今 (1/6)

フジテレビの木曜深夜で、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』など、数々のヒットアニメを送り出してきた“ノイタミナ”。設立時からプロデューサーとして参加している山本幸治氏は業界セミナーで、現状のDVD販売のみを軸としたアニメビジネスから脱却したいと語った。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 フジテレビの木曜深夜で、数々のヒットアニメを送り出してきた“ノイタミナ”。「アニメの常識を覆したい」という制作スタッフの思いから、「animation」を逆さ読みした名称が付けられたその放送枠からは、『のだめカンタービレ』『東のエデン』などが生み出され、6月まで放送していた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』では作品の舞台を訪れる“聖地巡礼”を行うファンも目立った。

 そんなノイタミナを支えているのが、2005年の放送枠設立時からプロデューサーとして参加している山本幸治氏。山本氏はもともとフジテレビの著作権部という畑違いの部署で働いていたが、「アニメをやりたい」という一念から、オリジナル企画のシナリオ案を持ち上層部と掛け合うなど積極的に動いたことからノイタミナ枠を立ち上げるに至った。

 フジテレビで放送することによる一般性を要求されながらも、“一癖ある”と評価される作品に仕上げているノイタミナのアニメ。7月10日に行われたテレビアニメーション業界セミナー「変わりゆくテレビアニメ ―いままでと、これから。―」(主催:代々木アニメーション学院)では、お笑い芸人のサンキュータツオ氏が聞き手となり、その制作の内幕を語った。

ah_noita1.jpg お笑い芸人のサンキュータツオ氏(左)とノイタミナプロデューサーの山本幸治氏(右)

ノイタミナプロデューサーの仕事とは

サンキュータツオ ノイタミナのプロデューサーはどんな仕事をされているのでしょうか。

山本 企画によって自分が企画しているものもあれば、そうでないものもあるので、企画のプロデューサーという意味ではバラバラです。ただ、ノイタミナの最終的なラインアップを決めるのは僕の仕事です。

サンキュータツオ 一般的に他局のアニメのプロデューサーはどういう仕事をしているのですか。

山本 本当に接点がないので、あまり分かりません。ただ、現場で「ほかの局のプロデューサーってどうなんですか?」と聞くと、「ヤマコー(山本氏の愛称)より結構来ているよ」と言われて、「そうなんだ」と思いました。

 昔のフジテレビのプロデューサーは、要所要所にだけ顔を出すみたいな感じと聞いていたし見ていました。ただ最近、深夜アニメが増えていて、積極的に取り組んでいる毎日放送とかだと、(機動戦士ガンダムシリーズなどを手掛ける)丸山博雄プロデューサーとかは結構顔を出しているらしいので、状況によるんじゃないですか。

 僕はシナリオ会議にはだいたい行くのですが、アフレコ(映像に合わせてセリフや音楽などの音声を追加する作業)にはあまり行かないんです。アフレコや編集にまで顔を出すと多分仕事が回らないので、一緒にプロデューサーをやっているフジテレビ側の担当に任せています。毎日放送のプロデューサーだと、アフレコにも行っているのかもしれないですが、よく分からないですね。

サンキュータツオ テレビ番組を作る、ということがテレビ局のプロデューサーの仕事だと思います。実写のバラエティやドラマだと、テレビ局のプロデューサーは「この番組をやりましょう」という決断をくだして、制作会社に仕事を振って、こういう座組みでやりましょうというところまでは関わりますが、現場にはあまり来ないというのが通例です。アニメのプロデューサーには、シナリオ会議や編集、アフレコにも参加する人がたまにいるということですか。

山本 そうですね。企画によって違っているので、「お前、来なかったじゃねえか」という現場も多分あるんですね。特にノイタミナが始まった時は正直、制作会社との距離があったので、「どうやってうまく入っていくべきか」と日々悩んでいました。

サンキュータツオ 制作会社のプロデューサーとテレビ局のプロデューサーとは何が違うんですか。

山本 制作会社のプロデューサーは1話当たりの予算の枠内に制作費をおさえる仕事をしていて、現場からすると「全予算を持っている人」なんだろうと思います。その予算を集めてくるのが、ビデオメーカーやテレビ局のプロデューサーなのですが、フジテレビが毎日放送と違うのは、テレビ局のプロデューサーとしての仕事のほかに、製作委員会の幹事として座組みを決めたりもしていることです。

ah_noita2.jpg 製作委員会方式の一例(出典:公正取引委員会)

サンキュータツオ それは制作会社から煙たがれませんか。

山本 制作会社というよりビデオメーカーから煙たがられることはたまにあります。領域をちょっと奪っているところもあるので。完全にビデオメーカーが主導する放送枠に比べると、(ビデオメーカー側からすると)いろいろ放送局側の主張も入ります。

 でも、そうしないとノイタミナのブランディングを継続したり、オタク層向けに振りきりはせずに一般性を確保するというようなことは多分できないことなんですよね。

サンキュータツオ では、あるアニメをやりたいと言い出すのは誰なのでしょうか。山本さんがやりたいというアニメをやるのか、制作会社がこのアニメをやりたいと言うのか、ビデオメーカーがやりたいと言うのか。

山本 本当に企画によってまちまちです。僕ら自身がやりたいと言い出しているのは半分ないくらいじゃないですかね。言い出しっぺがビデオメーカーのプロデューサーだったり、誰かが前に組んだチームと温めていた企画があって「こういうのどう思う?」というのでやったりとかいろいろです。

サンキュータツオ ビデオメーカーはDVDやグッズを売りたい。そこで、「こういう原作でこういうアニメを作ればDVDやグッズが売れるので、フジテレビでやりませんか」と。あるいはいろんなテレビ局に持っていったりとか。

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