なぜ信用できないのか? 政府が発表する原発情報に原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(1)(4/5 ページ)

» 2011年07月01日 09時10分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

菅首相に辞めてもらいたい理由

原口:原発にかかわっている大臣が、何人いるかご存じでしょうか。実は5人もいるんですよ。全員の名前を挙げることができる人は、ほとんどいないでしょう。モニタリングポストは文部科学省、戦略にまつわることは科学技術省、このほか防災担当大臣もかかわっています。テレビには官房長官や経済産業省がよく出ていますが、原発には多くの人が携わっています。

 さきほど武田先生は船を例に挙げられましたが、原発はいわゆる“エンジン”だけあって、救命ボートや救命具などを用意せずに運転を続けてきたんです。3月11日に事故が起き、その日の20時50分に2キロ圏内で避難指示が出されました。そして21時23分に3キロ圏内の避難指示と10キロ圏内の屋内退避指示が出された。

 政治家の中には「自分たちはたいしたことをした。避難距離を広げたんだから」と思っている人がいるかもしれませんが、それではダメ。住民にはすぐに救命具をつけさせ、そして救命ボートで逃げるべきだったんです。

 文部科学省は学校などで許容される放射線量について、1時間の限度を3.8マイクロシーベルトと発表しました。これは国際放射線防護委員会が、年間の積算放射線量20ミリシーベルトとしているものを根拠としています。しかしこの20ミリシーベルトについて、僕は大反対しました。

 「現在のチェルノブイリと同じようにやりましょう。なぜやらないんですか?」と僕が訴えると、ある人はこう言いました。「それをやると、避難する人がたくさんになってしまう。学校だけで1000校以上の児童・生徒を、避難させなければいけない。それはできないんだ」と。

武田:ひどい話ですね。

福島第1原子力発電所原子炉建屋上部空気中放射性物質のサンプリング状況(1号機、左)、福島第一原子力発電所原子炉建屋上部における空気中の放射性物質のサンプリング状況(3号機、右、出典:東京電力)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.