裕福なバックパッカーはいかが? 高級ホテルにチャリでチェックイン郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2011年01月13日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷好文(ごうよしふみ)

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。他の連載は印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」、メルマガ「ビジスパ」で「ことばのデザイナーのマーケティングレシピ」。中小企業診断士。アンサー・コンサルティングLLPパートナー。ブログ「マーケティング・ブレイン」(コンサル業)、「cotoba」(執筆業)。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 この年末年始、どんな旅行をされただろうか。実家への弾丸帰省? つかの間の南国グアム? それともテレビの駅伝観戦で、大手町〜箱根の往復旅行? 私は3つ目だが、今年の暮れにぜひトライしてみたい旅行スタイルがある。それは“裕福なバックパッカー”である。

 バックパックとはリュックサックのこと。ハイキングやトレッキングでリュックサックを背負って旅をする人たちをバックパッカーと呼ぶが、そんな若い世代向きの旅スタイルを実践する50〜60代が増えているという。とはいえ、若者のようにテントやユースホステルに泊まるといった貧乏旅行ではなく、一流ホテルや豪華なコテージに滞在し、移動はビジネスクラスやグリーン車で行うというのが特徴だ。

裕福なバックパッカーとは

 ロイターの記事によると、そんな裕福なバックパッカーのことを“ボードルーム・バックパッカー”ないし“フラッシュパッカー”と呼ぶという。

 ボードルームとは、でっかいテーブルと革張りチェアがそろった大企業の豪華な会議室のこと。日常は会社で重役として働くが、オフの旅行になるとスーツを脱ぎ捨てて荷物を背負うスタイルに変身する。フラッシュパッカーとは、可処分所得が高くて旅にもお金を使える人で、しかもデジタル装備(スマートフォン、iPad、デジイチなど)で身を固める。こうした裕福なバックパッカーのことを“affluent backpacker”と言い、高齢旅行者の増加とともに増えているそうだ。

 裕福な彼らはどこに行くのか。南海の孤島での王様のような滞在もあれば、雪深い山脈奥地にこもって本を読みふけるぜいたくな引きこもりもある。前人未踏のジャングルに踏み込む冒険もあるし、らくだで砂漠横断の極限トリップもあるだろう。2〜3カ月かけて世界1周する異文化交流紀行も楽しい。

 要は「若いころにやった出会いと自由の冒険旅行をもう1度したい。だけど過酷なのはイヤ」。こういうニーズ、分かる。私も人並みに、いや普通の人以上に若気の至りの放浪旅行をやった。出会いあり、冒険あり、感傷あり、失恋あり。旅で涙を流すほどの感動はあの時以来味わえない。体験型旅行やエコツーリズム、学習旅行も悪くはないのだが、感動までのお膳立てが行き過ぎている感じもする。

 もっと旅人を突き放してほしい。でも、宿泊や移動はもう少し楽にしてほしい。これが裕福なバックパッカーの心の底にある気持ちだろう。

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