裕福なバックパッカーになるとしたら、どんな旅行をしよう?
徒歩……はさすがにつらいから自転車がいい。自転車なら徒歩より楽ちんだし、クルマより小回りがきく。壁にひょいと立てかけての訪ね歩きも自由だ(でも違法駐輪はイカン)。
そんなことを考えているうちに相棒cherryさんと「房総半島自転車旅」の妄想で盛り上がった。5月から6月にかけて、花がいっぱいの季節。温暖でおいしい海の幸がたくさん、勝浦朝市で焼きはまぐりの海産物、鴨川シーワールドでシャチのショーを見学。マザー牧場こだわりのチーズも堪能し、森の中の陶芸工房にも立ち寄りたい。隠れた旧跡や何でもない路傍の見捨てられた美を発見し、時に野宿もいとわず、アクシデンタルな出会いを楽しむ。サイクリングで酷使した身体は温泉で癒やす。ああ、なんて幸せ!
都市の放浪旅行もまた楽しい。行列のできる名店巡りや明治から続く老舗レストラン、ギャラリーの訪ね歩きも楽しい。稲荷神社のハシゴ、我楽多市やフリーマーケット探訪、Facebookの友達を訪ねてリアルフレンドにするのも、ある種のスリルがある。夕方になったらホテルにチェックイン。今夜の宿泊はリッツ・カールトンだったかな。
ツーッと自転車で、リッツ・カールトンの正面エントランスに到着。そしてドアマンに「これ」と自転車のカギを渡す。そんな自転車の“バレーパーキング”(エントランスで預かり、駐車・回送するサービス)があればいいなあ。高級ホテルの格式に負けないように、自転車もそれなりのものでないと格好がつかない。コルナゴ(英国)とは言わないまでも、ビアンキ(イタリア)、オルベア(スペイン)あたりの高級自転車でないと恥ずかしい。
翌朝チェックアウトすると、ホテルの入口に自分のチャリが回送されている。そしてホテルマンとこのようなやりとりがあるのだ。
「空気圧を調整しておきました」
「ありがとう」
「お気を付けて」
「じゃあな」
ヘルメットをしっかり締めてバックパックを背負い、裕福なサイクリスト・バックパッカーは次のハードな旅程へ向かう。
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