コラム
» 2010年11月22日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:労働組合って必要なんだけどね (1/3)

組織率が20%を切るまでに衰退している労働組合。しかし、縮小しつつある市場もある現代だからこそ、労働組合は必要だとちきりんさんは主張。そのためには、時代の要請に応じて使命を定義し直すことが重要だと説きます。

[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん(Twitter:@InsideCHIKIRIN)。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2007年7月1日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 時代が変わることで不要になるものがあります。反対に時代の変化に伴い、新たに必要になるものもあります。

 ある組織や団体、企業が、時代の変化に応じてその役割を変化させていけば、組織の価値は時代が変わっても失せることはありません。しかし、「今までやってきたことを一切変えたくない」というのであれば、組織自体の存在意義が問われることになります。

 例えば、「今や、官が民を率いる時代ではない」などと言われ、「官の縮小」「権限削減=規制緩和」が叫ばれることが多くなりました。しかし実際には、規制緩和があれば官の役割はそれまで以上に重要になります。

 規制緩和を成功させるためには、違法行為の監視とセーフティネットの提供が不可欠ですが、2つとも民間では果たしにくい役割です。規制緩和と同時に官組織を小さくしてしまうと、悪徳業者がはびこり、市場からはじかれた人が路頭に迷ってしまいます。

 必要なことは「規制を廃止すると同時に、今まで規制を作ったり運用していたりした人と組織を、市場の監視と、セーフティネットの提供に割り振ること」なのです。ところが多くの役所が、不要になりつつある従来の役割にしがみつき、積極的に新しい役割を担おうとしません。だから「そんな役所はもういらない」という話になってしまうのです。

 農水省のかつての役割は「小作農と農業を守る」ことだったのでしょう。その役割のままなら、産業規模も従事人口も少なくなった今では、昔のような人数や予算は不要です。しかし、「食の安全を守る」のが仕事だと再定義すれば、その役割は昔より重要なはずです。

 昔と違って今は、世界中から食べ物が輸入されるし、新しい農薬や、遺伝子組み換えを始めとした新技術も登場してきています。また同じ食品でも、産地などブランドによって大きく異なる価格が付けられています。表示の真偽や安全性など、市場の監視機能の重要性は昔より格段に高まっています。

 それなのに新たな役割を果たすどころか、従来の役割をさらに固定化し、「守っているのは食の安全ではなく、米の高値と農業票をとりまとめてくれる農協と、農水省の組織」であるかのような振る舞いを続けていては、「何のための役所なのか?」という話になってしまいます

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