「店の経営は自分の腕次第。苦しくても頑張れば成果が出るのが楽しい」
引き込まれる笑顔、快活な話しぶり、芯のある強さ。「このお店が繁盛しないわけがない」と、韓国屋台炭火焼き「豚お姉(トンオネエ)」の店長、許允煕(ホ・ユンヒ)さんに会ってピンときた。オーナー兼店長の許さんのお店では、ジューシーで甘いと定評のある平田牧場の三元豚がウリ。通常の焼肉豚より仕入れは5割も高い。だが利益を削って市場価格で提供する。なぜですか?
「愛があるから。料理もお客さまにも仕事にも、愛を込める。トラブル客も愛しているから許します」
ある時、酔ったお客が「トイレから使用者が出て来ない」と怒鳴った。許店長は笑顔で「1つしかないウチのお店が悪いの。許してね」と言って、納得してもらった。彼女の母は韓国で有名な食堂を営む。店ではお酒を1人1本までしか出さない。なぜなら「酔うと人は悪くなる」から(笑)。自戒しよう。
韓国から来日して13年。2軒の韓国刺身店を成功させた後、1年前新宿に焼肉店をオープン。毎日お客さまのテーブルを回っては話をする。政治、文化、サッカー、ゴルフ……。何を話したかしっかり覚える。レジの後ろにずらりと並ぶのはお客さまのポラロイド写真。ひと言を添えて貼っている。お客さまがお客さまを呼ぶお店なのである。
「アルバイトの面接も1時間かけます。『日本になぜ来たの?』『成功したいの?』『夢は何?』と」。面接者には「もしもお店が合わないなら、合わないと先に伝えて」と言う。
やさしくてひたむきな許店長。その秘密は彼女には夢があるからだ。
23歳のある夜遅く、日本に着いた。新宿プリンスホテルの高層階に泊まった。見下ろすとネオンがいっぱいだった。許さんは思った。
「ここが私の生きる場所だ」
あの日以来、新宿が好きだ。ネオンの明るい夜が好きになった。だから10年以上かけて千葉から浅草を経て、原点の新宿に戻ってきた。ここから豚お姉のお店を100店舗にするために。
私は店長プレゼントをたっぷりもらった。2人の店長からの“感動と夢のプレゼント”だ。お店の器は店長力で決まる。疲弊した日本の救世主は店長かもしれない。店長.jpにはまだたくさんの“店長物語”が隠れている。みなさん、それを探しにいきませんか?
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