最悪な上司とつきあう方法吉田典史の時事日想(2/4 ページ)

» 2010年09月17日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

上司の癖を観察すること

 ここで読者に問いたい。こういった人の部下になったときにどうするべきか。インターネットでは「上司なんか関係ない。辞めてしまえ」といった書き込みをよく見かける。それも1つの生き方ではあると思う。

 さらに問いたい。転職をした会社にもこのような上司がいたらどうするのか。ここまでひどくはなくとも、あなたを評価しない上司はいるかもしれない。あるいは、考え方の違いでぶつかる上司が現れるかもしれない。そのたびに、会社を辞めるのだろうか。安易な考えで転職を繰り返すと、労働市場において自分の値打ちを下げる――その覚悟はできているだろうか。

 わたしはこの上司に仕えた30代のころ、経済団体の「創業塾」に通ったり、資格の学校に通学し、独立を模索していた。そして「会社にぶら下がるな!」とそそのかすコンサルタントや評論家、経営者などの本をよく読んだ。その一方で「そりのあわない上司をいかに動かすか」を考え抜いた。ときには朝方の4時までくらい思い悩み、口惜しくて半泣きで不満をノートに殴り書きしたこともある。

 あれから、6〜7年が経つ。個人事業主であるいまのわたしに役立っているのは資格ではない。また有識者の無責任な言論でもない。上司の対策を考え抜いたエネルギーとか、耐える心、不満をコントロールする力、さらには摩擦を避けつつ、自分の考えを通していくタフネスさなどである。何よりも、この上司の癖をよく観察したことが有益だった。

 例えば、彼の言動を見ていると、部下が自分よりも目立ったり、役員から部下が評価されることが気に入らないのだ。実際、わたしが役員から褒められたときは、数日間、こちらのミスをあげつらっていた。そのとき、わたしが上司を立てると、満足そうな表情になる。それで、攻撃が止まる。

 実に単純なのだ。筋金入りのお坊ちゃまであり、甘やかされてきたから、つねに自分が一番でないと気が済まない。部下としてはそれを見抜き、彼の自尊心を逆なでしなければいい。わたしはさらに彼を観察した。そのポイントは、喜怒哀楽に目をつけることだった。特にその変化である。

 例えば、怒っていた後に機嫌がよくなるときがあった。その際、わたしは周囲の部下たちの行動に着眼した。すると、やはり、部下が彼を立てるようなことを言うと、怒りが収まるのだ。さらに喜んでいた後に怒り出すことがある。そのときも、部下たちの行動を観察した。これも想像どおりで、部下が彼よりも目立つような仕事をしたときにヒステリックになることが分かった。

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