DSで生活が便利になる――任天堂・岩田聡社長と宮本茂専務、ゲーム機の現在と未来を語る(1/6 ページ)

» 2009年04月10日 13時10分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 任天堂の岩田聡社長と宮本茂専務は4月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。ビデオゲーム市場動向や米国でのニンテンドーDSi(以下、DSi)の販売状況についてや、『Wii Sports Resort』の発売日や京都文化博物館で実施されるニンテンドーDS(以下、DS)を利用したガイドサービスについても言及した。以下、詳しく紹介する。

任天堂の岩田聡社長(左)と宮本茂専務(右)

ここ2年のビデオゲーム市場拡大は任天堂のプラットフォームで起きた

岩田 日本外国特派員協会でお話しするのは今回で3回目です。1回目は2004年12月でDSをリリースした時、2回目は2006年12月でWiiをリリースした時でした。

 それ以来、世界のビデオゲーム市場は大きな変化を経てきました。最も大きな変化はビデオゲームのユーザー層の拡大です。これまでビデオゲームをすると思われていなかったような人たちが、今ではDSやWiiで遊んでいます。任天堂がゲーム人口を増やすための基本戦略を議論していた時期には、現在、私たちが見ているような状況は誰にも予測ができないことでした。

 市場の拡大は我々の想像を超えていました。北米と欧州のビデオゲーム市場は、Wiiの発売以来、特に拡大しました。下図左はNPD Groupの調査による米国のビデオゲーム市場規模推移を表しています。ご覧のように、米国のビデオゲーム市場は2007年〜2008年の2年間で急激に拡大しています。2008年秋からの世界経済の状況を鑑みるに、米国でのビデオゲーム市場の拡大はほかのどの産業でも見られないことでしょう。

 市場拡大に貢献したのは、2006年11月に米国で発売したWiiです。また、DSが普及したことも貢献しています。DSはまず日本で普及し、それから世界中に広まっていきました。下図右は、売り上げを任天堂とそれ以外の企業とに分けたものです。任天堂のビデオゲーム市場での売り上げは、顕著に増加しています。特に2007年〜2008年にかけての米国ビデオゲーム市場の売り上げの拡大は「ほとんどが任天堂のプラットフォームで起こっている」と読み取れます。

米国ビデオゲーム市場(左)、任天堂の売り上げ部分を赤く示した(右)

 このデータは「任天堂のソフト売り上げだけではなく、サードパーティ※のソフト売り上げも含んでいる」ことに気付かれない人もいるかもしれません。任天堂のソフトのいくつかは、ロングテールの売り上げになっています。NPD Groupの2008年ソフトウェア売上報告書によると、任天堂のソフトは上位4位までを占めていたとのことです。

※サードパーティ……他社のOSや機器などに対応する製品を作っているメーカーのこと。

 この事実から、「サードパーティのソフトで、任天堂のプラットフォームで売れているものはほとんどない」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、それは正しくありません。下図左は同じくNPD Groupのデータで、先日サンフランシスコで開かれた「Game Developers Conference(参照記事)」での私の基調講演でも使ったもので、2008年のハードウェアごとのソフトの売り上げを比較しています。サードパーティは最も多くの売り上げをWiiで記録しており、2番目がDSです。さらに、サードパーティのソフトの売り上げを企業ごとに分類して眺めると(下図右)、「サードパーティのソフトは任天堂のプラットフォームでは売れない」という推測は必ずしも正しくないことが分かるでしょう。

米国ビデオゲーム市場でのサードパーティのソフト売り上げ(機種別、左)、米国ビデオゲーム市場でのサードパーティのソフト売り上げ(企業別、右)

 欧州市場も同じような傾向です。下図は英国、フランス、ドイツでのゲームの売り上げの変化を表しています。4年分しかデータがありませんが、欧州市場は米国市場と同じように、この2年間で急激に拡大していることが分かります。米国と同様に、市場の拡大に対する任天堂プラットフォームの貢献度も高いです。

欧州ビデオゲーム市場(左)、任天堂の売り上げ部分を赤く示した(右)

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