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» 2009年04月10日 13時10分 UPDATE

DSで生活が便利になる――任天堂・岩田聡社長と宮本茂専務、ゲーム機の現在と未来を語る (5/6)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

携帯電話はライバルか

ah_dsdayo.jpg ニンテンドーDSi

――DSにとって携帯電話が大きな競争相手であるように感じますが、それに対してどのようなポジションを取っているのでしょうか?

岩田 「『携帯電話が脅威である』という話を、これで何回言われたかな」という感じがします。日本でiモードが立ち上がったころに、「ゲームボーイは携帯電話に飲み込まれる」とよく言われました。あるいは、Nokiaさんが携帯ゲームビジネスに乗り出した時、やはり同じように「ゲームボーイアドバンスは携帯電話に飲み込まれるだろう」と言われました。その時に「携帯電話が携帯型ゲーム機を飲み込む」と言っていた人は、今どう責任を取っているのかちょっと聞きたいくらいです。

 しかし、今回も同じことの繰り返しかというと、「それだけで片付けない方がいいかな」とは私は思っています。あの当時とは携帯電話の技術も違うし、その上で表現できるゲームも変わってきましたからね。もし私たちが現状に満足して、「もうこれ以上イノベーションは必要ない」と考えて、このまま同じような商品を作り続けていたら、いつか携帯電話のビデオゲームにDSは飲み込まれてしまうかもしれません。

 ただ、我々は立ち止まるつもりはありません。もし我々がゲームボーイアドバンスに満足して、ゲームボーイアドバンスだけをやり続けていてDSを作っていなかったら、きっと今頃、携帯型のビデオゲームのビジネスはこんなに大きくなっていなかったでしょう。

 あえて言えば、「携帯電話にできないことを、我々は次々と提案できるかどうか」。(それが)できたら携帯電話は脅威にならないし、携帯電話にできそうなことしか我々ができなかったら、携帯電話がみんなにとって必ず持たなければいけないデバイスにどんどんなっていくわけですから、(DSは)影響を受けるかもしれない。そう僕らは考えています。

宮本 皆さん、「アーキテクチャ※」という言葉はご存じですよね。携帯電話というのはアーキテクチャではありません。携帯電話といういろんなものの総称です。DSというのは世界で1つのフォーマットで、単一商品です。

※アーキテクチャ……ハードウェア、OS、ネットワーク、アプリケーションソフトなどの基本設計や設計思想のこと。

 さっきお話したように、「サービスをする人が、いかにデータを簡単に作れるか。よりたくさんの人にサービスができるか」は非常に大事なポイントです。DS用にサービスを作る人は1つのプログラムを作るだけでいいですが、携帯電話用にサービスを作る人は何十のプログラムを作らないといけない。この点が我々のハードウェアが世の中で一番アドバンテージがあることだと思っています。

――逆にDSが通話機能を加えて、携帯電話の直接の競争相手になることはあるのでしょうか?

岩田 「DSが携帯電話になる可能性」という意味で語ると、DSは娯楽のために作りましたから、娯楽のためのプロダクトが「毎月お金を払う」という構造になると、「今のお客さんの何割がそれを受け入れてくれるのか」という課題があります。このことを聞かれると私はいつも、「お客さんが毎月お金を払わなくてもいいビジネスモデルが発明できたら電話と一体化したいな」と言っています。

――Wiiはビデオゲームのハードの常識を変えてしまいましたが、今後のビデオゲームの機械やゲームのプレイスタイルはどのようになるというビジョンをお持ちでしょうか?

岩田 今日の時点で「次の機械はこうします」と喋ると、競争上大変好ましくないんですね。昔以上に「任天堂が次に何をするか」を注目していただけるようになったので、余計にそうです。

 ただ、「過去にゲーム機が5年〜6年サイクルで世代交代をしてきたので、次も必ず5〜6年サイクルだ」という考え方が割と支配的なのですが、私は今回必ずしもそう思っていません。任天堂は、例えば宮本が「もうこの機械ではやることは全部やり尽くしたので、新しいネタがないと新しい驚きを作り出すことは難しい」と言う時代がいつか来るので、その時のために新しいハードを研究しているという構造だと考えていただいた方がいいです。いろんな技術が成熟してきたので、「コンピュータグラフィックスの性能が上がるから、5年〜6年サイクルで新しい機械(に世代交代)だ」という時代はもう終わったのではないかというのが私の認識です。

 もちろん、ハードのチームは「次はどうしよう」と考えているし、開発しています。しかし、テクノロジードリブンの会社(テクノロジーがリードする会社)のように、「最初にロードマップ(大まかなスケジュール)を描いて、それから作る」というスタイルでは任天堂はありません。あくまで、「ソフト(を作る側)にとって意義があるハードの新しさって何なの?」ということで考えています。そういう意味で、「次(のハード)はこうするんです」という話には今もう決まっていることと、それから間際にならないと決まらないことがいろいろあったりするのです。

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