千葉都市モノレール1号線を県庁前駅から延伸し、「中央博物館・市立青葉病院」まで至る路線を2015年度までに整備着手。また、さらに延伸して京葉道路につきあたる星久喜ターミナル地点までを、2015年までに開業することが望ましいと提言されている。
千葉都市モノレールの延伸計画は2009年度に着工し、2013年度までに「市立青葉病院(仮称)」まで開業する予定である。星久喜ターミナルへの延伸は破棄された。
千葉都市モノレールの利用者は1日当たり約4万5000人、年間で約1600万人。しかし、千葉市によると2005年度は7億円の赤字で、累積赤字は200億円に達しそうな状況だった。同年度は減価償却費前は黒字であり、借入金債務の償還額が22億円に達するなど、高額な建設費用の借り入れが経営の足を引っ張っていた。その上、利用客数が伸び悩み、事業収支面の解決のめどが立たず、出資者の千葉県と千葉市が財政支援を続けていた。
千葉都市モノレールの累積赤字はかねてより問題となっており、2002年度に「千葉都市モノレール検討調査委員会」が設置され、さらに2003年度には「千葉都市モノレール評価・助言委員会」が設けられた。この委員会では、財政面から千葉都市モノレール事業の存廃まで含めた議論が行われている。
2005年、千葉都市モノレールの再建計画で、千葉県と千葉市が対立した。千葉県は「これ以上の財政支援はしない」方針を掲げ、延伸するための予算を債務解消に使うと主張。特別予算で約158億円の公金を投入し、2006年度末までに累積債務を解消する案を出した。これに対し、千葉市は市立青葉病院前まで延伸して新規需要を開拓し、収益改善を図る案を主張する。両社の対立は結局、千葉県が約65億円を拠出して千葉都市モノレールの資本・運営から手を引き、今後は千葉市の負担で運営を継続することで合意。2005年11月に千葉県知事と千葉市長が会談し、2006年3月に千葉簡易裁判所で和解手続きが行われた。
千葉市はこれを受けて、市立青葉病院までのルートを再検討し、当初の計画である京成千葉寺駅を経由するV字型のルートを破棄。県庁前駅から東に進み、市立千葉病院を直結するルートを新たに策定した。旧ルートの破棄により、市立青葉病院前より先の延伸計画は白紙となった。
以上が千葉都市モノレールの延伸計画の経緯である。千葉市では延伸により1日あたり約8000人の利用者増を見込み、年間約7億円の増収を期待している。なお、累積債務の処理については2005年の和解手続きの合意により、千葉県と千葉市の債務を株式に転換することなどで解決した。市立青葉病院までの延伸は、現状打破のための“背水の陣”だと言えるだろう。
→どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(2)東京エリア編その1
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