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» 2008年11月07日 18時12分 UPDATE

近距離交通特集:どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(最終回)成田新線・新交通編 (4/5)

[杉山淳一,Business Media 誠]

【30】多摩都市モノレールの延伸(1)

多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸案の概要

 多摩都市モノレールは上北台−玉川上水−立川−高橋不動−多摩動物公園−多摩センターを結ぶ16キロの路線だ。開業は2001年。18号答申はこの路線について、上北台駅から西へ向かい、JR八高線の箱根ヶ崎駅に至る路線を2015年までに着手するよう提案している。さらに多摩センター駅から町田、八王子方面に向かう路線についても今後検討すべきとしている。

多摩都市モノレール箱根ヶ崎延伸案の現状

ah_tamamo.jpg 多摩都市モノレール公式Webサイトより

 具体的な進展はない。

 もともと多摩都市モノレールは、南北方向に不便な多摩地区の交通ネットワークを整備するために計画された。構想された路線網は約93キロメートルで、現在の開業区間はほんの一部である。93キロメートルの路線網は現在の開業区間を中心に、北方向はJR八高線箱根ヶ崎駅、さらにはJR青梅線羽村駅、JR五日市線秋川駅付近を経由して南下し八王子駅に至るというもの。多摩センター駅から西に進んで、八王子駅に至る路線を接続すると環状線が形成される。ほかに多摩センター駅から南下して町田駅に至る路線、多摩センター駅から東進して西武多摩川線の是政駅に至る路線、柴崎体育館−甲州街道から分岐して日野駅を経由し、八王子駅まで結ぶ短絡線が構想されている。

 多摩都市モノレールの開業区間は都心から放射状に伸びる鉄道路線を結んでおり、沿線に大学や住宅も多い。従って営業成績も優秀で、2005年に営業収支は黒字転換した。ただし、建設費用のほとんどを借入金で行ったため、経常収支は赤字となっている。利用者が多く収入もありながら慢性的な赤字。これでは撤退もできず、さらなる利益確保のための追加投資もできない。そのため、現在は東京都が主導して経営体質の改善を行っている。これにめどが立つまでは新規路線の開業はなさそうだ。

 また、基本的にモノレールの軌道は公道上に建設する方針となっている。これは路線用地の道路部分が東京都建設局の道路予算で行われているためだ。ところが箱根ヶ崎駅へ向かう新青梅街道は拡幅工事が必要であり、その進展を待つ必要もある。この点では優先順位の低い町田方面延伸計画の用地確保の方が進んでいるという。つまり、多摩都市モノレールの延伸整備は、都道の整備計画と密接に関わっているということだ。

 構想部分のモノレール開業を望む沿線住民は多い。未開業路線を実現するためには、有利子負債の削減による経営の健全化、道路整備事業の円滑化がキーワードとなる。

ah_23.jpg 青線が開業部分、赤線が18号答申の指定部分、緑線が構想全体の路線網

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