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2005/12/26 16:55 更新

特集:FeliCa携帯、本格始動
激戦地、ゆえの「FeliCa / おサイフケータイ対応」──長崎県バス協会に聞く (1/4)

「おサイフケータイ」でも利用できる、「モバイル長崎スマートカード」は、バス4社で共通利用する。FeliCa採用の理由、そして今後の課題を聞いた。

 12月12日、長崎のバス会社4社で共通利用できるおサイフケータイ対応サービス「モバイル長崎スマートカード」が始まった(12月12日の記事参照)。複数のバス事業者にまたがって利用できるという点で日本初であり、対応する車両数も合計1306台と多いのが特長だ。

 今日の時事日想は特別編として、長崎県バス協会長崎県交通事業者協同組合の高崎亨専務理事、西肥自動車の中塚武所長、長崎県交通局営業部運輸課の楠山史郎課長の3名のインタビューをお届けする。

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左から高崎専務理事、中塚所長、楠山課長

長崎県内の激しい公共交通競争

 モバイル長崎スマートカードのサービス開始にあたり、他地域の読者が注目したのが、対応バス事業者の多さだろう。長崎県の人口は約148万人であるが、その中で長崎バス/さいかい交通、長崎県営バス、佐世保市営バス、西肥バスの4社局という事業者の数は多いように見える。しかし、これでも長崎スマートカードに対応するバス事業者は、県内の一部だという。

 「長崎県内には乗り合いバスだけで事業者が14社あり、非接触ICシステムを導入しているのは本土を中心とする5社。モバイル長崎スマートカードには、このうちの4社局が対応しました」(高崎氏)

 乗り合いバス事業者以外にも、貸し切りバス事業者や、町村の支援で貸し切りバスを乗り合いで提供する事業者も存在するという。長崎県は離島が多いという事情もあるが、それでも「他県と比べると事業者の数は多い」(高崎市)。例えば、近隣の宮崎県などは、宮崎交通の1社で県内バス事業のほぼすべてを取り仕切っている。

 「本土地区でいいますと、大まかな担当地区はありますが、例えば市内は長崎バスと長崎県営バスというように営業地域が競合する場所もあります。長崎県は他県に比べると、バスなど公共交通の利用率が高く、それが事業者の多さにつながっています」(高崎氏)

 長崎での公共交通利用率が高い背景は、主に地理的な要因による。長崎県の地図を見てもらうとよく分かるが、県内の中心である長崎市、また観光地で有名な佐世保市などは、平野部が少ない土地だ。特に長崎市は海と山に挟まれており、市内の平地は少ない。そのため、市内の駐車場は慢性的に不足気味で、他県のようにクルマでの通勤や買い物がしにくい環境にある。

 「ただ、事情は(長崎県内の)地区によって大きく異なります。西肥バスが担当する県北地区、離島部では、クルマ利用の増加における影響が大きく、需要が落ち込んでいます」(中塚氏)

 一方、長崎市内においても、バス事業者のビジネスが安泰なわけではない。バス事業者同士が競合するのはもちろんだが、市内を走る路面電車との競争がある。また慢性的な少子化傾向による通学利用者の減少や、駐車場の不便があっても増えるクルマ利用の影響も顕在化している。

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[神尾寿,ITmedia]

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