どのように育てれば「自発的な部下」になるのかボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/3 ページ)

» 2012年12月19日 08時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

人の「行動の源泉」

 私も中間管理職のころ、同じような悩みを抱えていました。中間管理職が1人だったので誰にも相談できず、1人疎外感を抱いていました。けれども、リーダーの務めを果たさなければなりません。そこで、私が取っていた行動は、私自身が一般社員の時に受けてきた「プレッシャーをかける」という方法でした。「もっと自発的になりなさい」とも言っていましたが、部下はなかなか自発的になってくれません。

 私には以前、A君という部下がいました。彼は言われたことはきちんとやるのですが、自発的ではないタイプです。

 しかしある日、私はA君が自発的になった瞬間を目撃しました。それは、A君が同僚と釣りの約束をしていたときのこと。「明日は朝3時ね」と待ち合わせ時間を自ら相談している姿を目撃したのです。

 「仕事では自発的ではないA君が、なぜ釣りには喜んで朝3時に起きて出かけていくのだろう?」。こうしたことを考えていくうちに、職場に足りないものは何かが分かってきました。それは「楽しさ」でした。

 よく考えてみたらとても単純なことでした。人というのは「楽しければ行動するし、楽しくなければ行動しない」「楽しいことには積極的に関わろうとするし。楽しくないことにはできるだけ避けようとする」――それが、私たちの行動の源泉です。

 しかし仕事になると、プレッシャーをかけて部下を動かそうとしてしまっていた自分に気がつきました。

自発的な部下を育てるときに言ってはいけない一言

 中間管理職のころ、私は「自発的になりなさい」という言葉をよく使いました。最近になって、この言葉は禁句だと思うようになってきました。

 自発的とは、本来「自ら動く」ということですが、「自発的になりなさい」という言葉自体、かなり強い命令です。「自ら動く」ことを強要していることになるので、この時点で自発的とは言えません。

 しかも「自発的になりなさい」という言葉は、暗に「あなたは自発的ではない」ということを指していることになります。この一言は、知らず知らずのうちに部下の自尊心を傷つけてしまいます。私も以前、この言葉をかけられたことがあるのですが、かなり傷ついたことを思い出します。

 自発的な部下を育てるためには、「自発的になりなさい」と直接的に命令するのではなく、「職場がどうやったら楽しくなるのか」をベースに、「結果的に自発的になる」方法を考えていく必要があるんじゃないかと思っています。

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