父: お父さんは、サオリがどの世界に進むかなんて、まったく気にしないよ。
娘: そうなの!? ちょっとくらいは気にかけてよ。
父: 気にするのは、進んだ世界の問題を解決できる能力を備えた人間に成長しているかどうか。
娘: そっか、そっちを心配するってことね。
父: どこに進学してどんな職場に就職できるかなんてことを心配するのではなくて、問題解決能力が未熟なまま成人してしまうことを恐れてほしいね。
娘: 勉強の目的は、将来に問題を解決するための力を身につけるためなんだな。
父: 大人の世界の問題は、学校のテストより難しいよ。先生もいないし、教科書もない。参考書もなく、模範解答すら存在しない。そんな状況に直面する前に、答えのある試験問題をたっぷりこなして、準備運動をしておいてくれ(笑)。
娘: そう考えると、毎日の授業や部活の人間関係、面倒くさいこと、嫌なこと、すべて意味があるって思えるよ……。あたしは来年受験生で勉強がますます忙しくなるし、部活では後輩を引っぱる立場でもあっていろいろ大変になるから、この話をしておいてよかった。進路のことで、少し悩んでいたところだったし……。
父: なら、よかった。
娘: 勉強をがんばるべき理由がよく分かったよ。
父: 最後に、お父さんからサオリにTED動画のプレゼント。今年の7月に北海道で開催されたTED Sapporoで植松努(うえまつ つとむ)って方が話された講演だ。今回のマジトークを終えた今なら、よく理解できると思うから見てみよう。
中学2年生の娘と43歳の父との仕事についてのマジトーク、いかがでしたか?
来年から中学3年生になり、進路選択が現実味を帯びてくるこの時期に「(将来を含めた)働くってこういうこと」というテーマで話せたことを、娘は「すごくためになった。いいタイミングだった」と感謝してくれました。
朝の6時から8時半までガストで話したのですが、部活の時間になったので、いったんタイムアップ。「まだ話し足りない」とせがむ娘をその日の晩にもう一度連れ出し、コメダ珈琲で延長戦(2時間)をしたので、合計4時間半も話すことになりました。もちろん、TED動画もいっしょに観ました。娘は深く感銘を受けていました。
忙しい日常ではなかなか腰を据えて話し合う時間が見つけにくいものですが、年末年始であれば日頃の喧騒を忘れ、落ち着いて話せる時間が持てると思います。クリスマスの食卓や帰省した実家などで、お子さんと「働くこと」について話し合ってみてはいかがでしょう。お父さんの仕事が何なのか、お子さんはまったく知らないかも知れませんよ。
Business Media 誠で連載された「父と娘のマジトーク」が、『お父さんがキモい理由を説明するね』というタイトルで書籍化されました。当時中学1年生だった娘とアラフォーのトークを記事化したWeb連載に大幅加筆した(連載で取り上げた10テーマについてすべて追加でトークを行った)上に、母と祖父とのトークも追加収録。「正しい彼氏の選び方について」「両親それぞれの人生の後悔について」「家系について」「人生の航海について」「死について」という5テーマについて書き下ろしを追加しました。
母が「高校を2カ月で辞めた」と告白したり、ガンから生還した祖父が死生観を語るなど、中山家の家族の驚くべきエピソードが明かされる本書。巻末に掲載した「二十歳の娘」に宛てた父からの手紙は、涙なしでは読めません。
連載で取り上げた10テーマについてすべて追加でトークを行ったほか、掲載した文章の約2倍のボリュームになるまで加筆していますので、連載記事をすべて読んだ人でも読み応えがある内容です。年頃のお子さんがいるすべてのお父さん&お母さん、これからお父さんになる若い方、そしてかつて娘だったみなさんにオススメします。
1989年、高校卒業と同時に、極寒のアイオワ州の全寮制高校に入学。唯一の日本人として七転八倒で英語を学び、1990年にCovenant College(米・Georgia州)入学。エチオピア、インド、ウガンダ、ガーナ、南アフリカ、ペルー、韓国の留学生らと共同生活を送りつつ、心理学、生物学、社会学を専攻。1994年に卒業。
白い犬で有名な某携帯電話キャリアに新卒入社し、マーケティングと営業に携わる。2000年にネット業界に転身。旅の窓口(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに入社。マーケティング、営業を経て、現在はコミュニティ・マネージャーを務める。三度の飯より、サッカーと自転車が好き。
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