娘: 学校の授業って、世の中の仕事に直接関係ないことが多くない? 連立方程式とか電流と電圧とか塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応の化学式とか、間違いなく社会で使わないよね。なんでこんなことをやらされるんだろうって考える中学生は多いよ。
父: つべこべ言うな。偏差値を高めて、いい大学に行って、いい会社に入って、安定したお給料をもらうためだ……って答えたら、サオリはどう感じる?
娘: いい会社って何よ? 有名で大きければどこでもいいの? 発想がすごく消極的だし、ぜんぜん仕事のことしゃべってない。
父: もちろん冗談だ。学校で覚えたこと、歴史の年号とか数学の公式なんて全て忘れてしまっていい。教養として身につけていることはプラスではあるが、大人になって直接役立つことはほとんどない。
娘: 必死に覚えたことを忘れてしまって、何が残るの?
父: 忘れた後に残るのが、本当のお前じゃないの?
父: 答えの一つ一つは忘れたって、問題を解決する能力は失われない。
娘: 問題を解決する能力?
父: 「問題を解決する力=価値」だ。サオリの価値は、サオリがどんな問題を解決できるかで決まる。少なくとも、世間からはそのモノサシで評価される。
娘: だから、いろんな科目の勉強をするの?
父: 勉強=筋トレ、科目は鍛える部位だよ。数学は腕の筋肉、国語は腹筋、理科は足腰、道徳は心肺機能……みたいな。
娘: ひとつ持ち上がったら、もっと重い鉄アレイで鍛えていくんだよね?
父: そうやって考える能力を鍛えていくわけ。学生時代にやるべきことは、「問題解決能力の素地を養う」に尽きると思うよ。
娘: 問題ってどう見つけて、解決していけばいいのかな……。
父: シンプルに考えてごらん。手当たり次第に人に話をきかせてもらうだけでもいい。「どんなことに困ってますか?」、「日常生活でイライラすることはなんですか?」、「こうなったらもっと快適だなって思うことは何ですか?」って聞いて、「じゃあ、こうしたらどうでしょう?」ってアイデアを提示してあげるんだ。
娘: その程度でいいのか。そう考えたら、問題ってそこらじゅうに存在するね。
父: 世の中って、問題だらけだと思わない? 学校でも会社でも政治でも、問題が山積みじゃん。
娘: どこそこで犯罪がありました、事故がありました、裁判が始まろうとしています……とか?
父: 不祥事が起きました、交渉が失敗しました、事業が終了します、借金が残りました……とか。
娘: 明るいニュースなんて、ほとんどないよね。
父: 大人が必死に問題解決に取り組んでもこのザマだってことだ。お前が大人になったとき、心配しなくても解決すべき問題はいっぱい残っている(笑)。
娘: だろうね(笑)。
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