フランスで7月12日17時15分に発生した列車事故は、パリ発リモージュ行きの特急列車の脱線転覆であった。列車は機関車が牽引する客車7両編成で、乗客は385人。この列車が時速135キロメートルでブレティニシュルオルジュ駅を通過しようとしたところ、駅の200メートル手前の分岐器で5両目以降が進路を外れ、4両目と5両目が分離した。非常ブレーキがかかったものの、4両目は横転しホームにいた人たちを巻き込んだ。5両目から7両目はホームにまたがるような形で惰性で進み大破した。
この事故の原因について国内外の報道を追うと、分岐器のレールを接続する鉄製の部品が外れ、ポイント通過の障害になった可能性が高いという。脱線の状態からみて、4両目までと5両目以降が分岐機を境に別の進路をとった様子がうかがえる。つまり分岐器に不具合があった可能性が高い。しかし「分岐器のレールを接続する鉄製の部品」がどの部分を指しているか、そこが分からない。重さは約10キログラムという。おそらく、報道各社も理解しないまま、記者発表をそのまま翻訳していると推察する。
線路の分岐器は、固定されたレール、可動するレール、脱線を防ぐガイドレールなどで構成されている。「分岐器のレールを接続する鉄製の部品」はいくつもある。固定されたレール同士をつなぐ部分にもあるし、可動するレールと可動装置(転轍機)を接続する部分にもある。ガイドレールにもある。
分岐器の仕組み。黒が固定レール、赤が可動レール、緑が「分岐器のレールを接続する鉄製の部品」に相当する部分
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