宮脇案は「なんとかクルマ利用者をすべて鉄道に乗せてあげたい、でも乗せきれなくて申し訳ない」という考え方である。しかし、私は「輸送量は足りなくていい」と考えている。必ずしも現在のクルマの輸送量をそのままシフトさせなくてもいい。鉄道転換を機会に、ピーク時の入山者を規制するという方策もアリだ。環境を保護するために、ピーク時の富士登山者は減らし、それ以外の時期の富士山周辺観光を盛り上げたほうがいい。富士山鉄道はシーズンオフ時の観光のシンボルにもなるだろう。
鉄道趣味には「仮想鉄道」という遊びがある。架空の鉄道を空想し、会社名や駅名、列車名を考えたり、線路配線図や列車ダイヤを作ったりする。絵心のある人は車両のデザインを描いている。まったくの架空の世界でもいいし、「こんな所に鉄道があったらいいな」でもいい。インターネットが普及すると、仮想鉄道の公式サイトもたくさんできた。恥ずかしながら私も作った経験がある。
富士山鉄道については、いずれ富士急行や山梨県などから、現実味のある具体案が発表されるだろう。私のような趣味人は、その前に「仮想」富士山鉄道を作り上げ、答え合わせの日を楽しみに待つことにしよう。
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。
- 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。
- なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。
- JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。
- あなたの街からバスが消える日
バスは鉄道と並んで、地域の重要な移動手段だ。特にバスは鉄道より低コストで柔軟に運用できるため、公共交通の最終防衛線ともいえる。しかし、そのバス事業も安泰ではないようだ。
- なぜ「必要悪」の踏切が存在するのか――ここにも本音と建前が
秩父鉄道の踏切で自転車に乗った小学生が電車と接触して亡くなった。4年前にもこの踏切で小学生が亡くなっている。なぜ事故は防げなかったのか。踏切に関する政策を転換し、「安全な踏切」を開発する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.