日本長期信用銀行のように「全体でどれだけ不良債権があるのか誰も知らない」という異常な事態をひき起こしたのは、会長や頭取という幹部がすべて「気のきく事務屋」だったので、各々が各々の顔色をうかがって、経営が分断されていたからだ。
『プレジデント2011年10月17日号 大学と出世・就職』によると、1985年、上場企業の「東大出身」の役員は4591人もいた。ところが2011年になると、945人と激減。右肩あがりの経済成長下では、「気のきく事務屋」の居場所もあったが、厳しい時代のリーダーにはふさわしくない。当たり前っちゃあ当たり前の話だが、ただひとつバブル前と変わることもなく、「気のきく事務屋」が幅をきかせている世界がある。官僚の世界だ。
政治家はダメでも官僚が優秀だから日本は安泰だ、みたいなことを言う人がいるが、安富教授の本を読むと、実は太平洋戦争もバブルでも、「学歴エリート」たちがそれを食い止めるどころか、むしろ中心的な役割を果たしていたことがよく分かる。だからこそ、高級官僚には、水野さん騒動で萎縮することなく、じゃんじゃんTwitterやブログを利用していただきたい。
みなさんがいかにバカ……いや、「暴走していないのか」を我々が知る重要な手段なのだから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング