KDDIはドコモに約1年遅れて、FeliCa事業に参入する。このタイミングは計算されたものだと、小柳氏は話す。
「我々が重視したのは、『社会インフラが整ったタイミング』で参入するということです。また、ユーザーニーズを牽引する『フックになるサービス』が登場するのを待った方がいいという考えもあった。後者の顕著なものが、JR東日本のモバイルSuicaですね。また、携帯電話のビジネスは全国区のものですから、電子マネーの(全国)普及を待つ必要があった。我々の判断基準は全国2万店舗の対応です」(小柳氏)
言うまでもないが、携帯電話だけで完結しないおサイフケータイには、社会インフラ整備という課題がある。いわゆる「鶏卵のジレンマ」が存在するのだ。ドコモは、おサイフケータイという新分野を切り開く立場から、リスクを背負って初期投資をし、ジレンマを打ち破る必要性があった。しかし、先行者ではないKDDIの立場では外部環境が整うのを待つ余裕がある。
「特に重視したのはモバイルSuicaのように利用の多いサービスが登場する時期と、全国でどれだけ使えるようになるか、です。(タイミングが見極められるのが)後発の強みですからね」(小柳氏)
ここはドコモとの大きくスタンスが違う部分でもある。ドコモは外部環境を率先して整備してきたが、KDDIでは「(携帯電話側の)プラットフォームを用意していく」(小柳氏)のが基本スタンスだ。BREWのFeiCaアプリ開発など既設FeliCa設備のau対応への支援は行うが、リアル店舗へのFeliCaリーダー/ライター整備にまで積極的にコミットするというスタンスではない。
「FeliCaに関してはユーザーを取り巻く状況を見ながら、柔軟に対応していきたいと考えています。リアル店舗対応以外にも、少額決済やクレジットカード事業の動向などが出てきていますが、自らがサービスの供給者として、例えばクレジットカード事業に乗り出すつもりはない。FeliCa事業に対する我々のスタンスは、ユーザー側の利用環境を(重点的に)整備していくというものです」(小柳氏)
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