TRICITYはあくまでもバイク、スクーターの延長の乗り物だ。停車時は足で支え、スタンドを立てないと自立しない。この点では一般的なスクーターと変わらない。
アクセルやブレーキの仕組みも、変速操作を必要としないオートマチック(Vベルト式)のスクーターと同じ。右グリップを回してスロットル、右レバーで前ブレーキ、左レバーで後ろブレーキ。一度でもスクーターに乗ったことがある人であれば、操作に戸惑うことはない。
スロットルを回して走り出してみる。走り出しから“安定感があるぞ”と感じた。スクーターは軽量な車体ゆえ、走り出しはハンドルがフラいて不安定になることがある。TRICITYはまずそれがなかった。
カーブに入るとどうか。バイクと同じように車体を傾けて曲がるのだが、ここは普通のスクーターと運転方法は変わらない。車体を傾けてもフラつく感じはなく、傾きの変化が一定。安心感がある。バイクは速度を失うと自立しない。街中での低速走行時や停車する時は不安定になりがちだが、走り出しと同様にこの不安感も少なかった。
強いて挙げるならば、普通のバイクが「スッ」と傾けられるのに対して、TRICITYは「スーッ」と傾く感じ。まったく同じではない、独特な感覚が得られる。
いずれにしてもこの感覚は、実際に乗っていただくと「お、なるほど」と理解していただけると思う。ヤマハは2014年9月10日の発売に向けて「TRICITY試乗モニターキャンペーン」(応募締切は2014年7月28日)を実施しているから、ぜひそれに応募して体験してみてほしい。全国7都市で行われる特設会場でも車両を展示したり、発売後は販売店に試乗車も置かれたりするだろうから、そこで体感するのもよさそうだ。
排気量124ccのTRICITYは、「第二種原動機付自転車(原付二種)」の車両区分に該当し、運転には「小型限定普通二輪車(AT含む)免許」以上の二輪車免許が必要となる。三輪ではあるが、車両区分としては50cc原付より上のバイクととらえればよい。普通自動車免許だけでは乗れず、ヘルメットの装着も必要である。
ちなみにこの小型二輪免許は、普通自動車免許所持者ならば学科教習1時間、技能教習8時間を受けるだけで取れる。教習費用は、例えばヤマハ直営の「ヤマハテクニカルセンター」の場合で8万5860円のようだ。
普通自動車免許で乗れる50cc原付スクーターなどに対し、124ccの原付二種は何がメリットか。時速30キロや二段階右折に制限されず、二人乗り(タンデム)もできる。その一方で、基本的な維持費が安いのは変わらず(軽自動車税は年間1600円ほど)、自賠責保険や自動車保険は50cc原付とほぼ同じ扱いであることが多い。クルマを持っていればその任意保険に「ファミリーバイク特約」を付けて安価にカバーすることも可能だ。ファミリーバイク特約は損害保険商品ごとに異なるが、年間プラス1500円ほどだ。
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