「今までにない走りの驚きと楽しさをTRICITYで伝えたい。特にこれまで二輪に乗ったことがない人を広く獲得したい」(ヤマハ発動機の柳弘之社長)
TRICITYは、フロント二輪が車体と同調して傾斜する独自機構を採用し、オートバイの「軽快でスポーティなハンドリング」と三輪機構による「安定感」を両立。リーンさせる機能と左右のサスペンションが独立動作する機能は、「パラレログラムリンク」と「片持ちテレスコピックサスペンション」による複雑な機構を取り入れて実現した。これにより、オートバイと同様のバンク角とハンドルの切れ角を。そして左右で独立動作するサスペンションにより荒れた路面などでのギャップ吸収性を高め、安定性と優れた乗り心地を実現する。
特に市街地での軽快な使い勝手を重視し、乗り降りしやすいステップスルーのフットボード、フルフェイスヘルメットを収容できる大容量のシート下収納スペースなどの工夫も設けた。
日本では、(これまでオートバイに親しんでこなかった人へ、いまさら)自動二輪免許を取得させる──のがやや高い壁かもしれない。50cc未満の原付バイク(第一種原動機付自転車)は普通自動車免許で乗れるが、それ以上の排気量の二輪車は自動二輪免許が必要となる。ちなみにEU圏は免許制度が少し異なり、普通自動車免許で125ccまでのオートバイも乗れる。
ただ、自動二輪免許の制度についてはじわじわと緩やかになる動きがあるのは追い風だ。1996年の大型自動二輪と普通自動二輪免許の分離(自動車教習所で大型自動二輪免許も取得できるようになった)、2005年のオートマチック限定免許の追加や高速道路でのタンデム走行の解禁(一部区間を除く)、2009年には日本自動車工業会(自工会)による小型自動二輪免許取得の講習日程簡略化要望の活動、そして最近も二輪車関連業界団体らが中心となって自動二輪免許の簡素化(小型限定免許取得の簡便化、普通二輪免許区分の見直しなど)を訴える動きが話題となった(関連リンク:「二輪車産業政策ロードマップについて:平成26年5月16日」)
車両を用いる移動手段は、公共交通機関、クルマ、オートバイ、自転車が一般的。利便性、時間帯、料金や維持費、安全性、渋滞、時短性、ライフスタイル、免許、駐車場など、いずれも長所と短所は存在するが、ヤマハが提案するシティコミューターとしての第3の乗り物はどうか。一部都市で実施されている四輪シティコミューターの事例もあるように、ちょっとした移動で使う人や通勤・通勤手段で使う人など、50cc原付に対して法定速度や二人乗り、二段階右折の制限、クルマに対して経済的で省スペースなことなど、特に都市部で生活する人にいくつかのメリットがある。仮に免許取得の簡略化や二輪免許区分の変更などがあるならば、若年層も含めた市場拡大は見込めそうだ。
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