カーナビであればGPS衛星の信号から自分の位置を割り出すことが重要だが、時計の場合、知りたいのは「時刻」だ。タイムゾーン受信モードでGPS衛星から時刻情報を受信するとき、いかに消費電力を抑えるか? GPW-1000ではこの課題をクリアするために面白いアプローチをしている。
「GPS衛星から送られる信号を受信して時刻を知ろうとする場合、位置と時刻の両方を知りたい場合は衛星を4つ捕まえる必要がありますが、自分の位置を割り出す必要がなく時刻だけを知りたいなら、衛星を1つ捕まえるだけで済みます。時刻だけを取得するなら約6秒ですが、位置を取ろうとすると最低30秒はかかります。受信時間が短ければ短いほど消費電力が抑えられます」(ソニー デバイスソリューション事業本部アナログLSI事業部コミュニケーションLSI製品部 干台岳氏)
GPSチップ側から見ると、4つの衛星を捕まえるということは4つの受信チャンネルを使うということであり、捕まえる衛星が1つだけなら1チャンネルで済むため、消費電力を大きく減らすことができる。GPS衛星を捕まえる数を減らし、受信する信号をできる限り短くすることにより、GPSチップが使う電力を最小限に抑えているのだ。
この他にもCXD5600GFには、汎用品よりもクロックを落とす、受信チャンネルごとにロジックの回路を制御する、負荷に合わせて動作シーケンスを最適化する、回路ブロックごとに電源を制御する……など、省電力化のための工夫がさまざまに凝らされている。
GPW-1000が実現したのは、カシオとソニーが緊密なコミュニケーションをとり、キーデバイスであるCXD5600GFの省電力化に取り組んだからだとカシオの担当者は話す。そしてソニーのエンジニアも「自分たちももちろん低消費電力化には取り組んできたが、レベルが違った。『ここまでやるとは』と驚いた」と話していたのが印象的だった。
カシオとソニーの努力とアイデアが込められたGPW-1000。発売日は7月26日とのことなので、実際に試せる日が楽しみだ。
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