ソニー×カシオで実現! 世界初「GPS+電波時計」G-SHOCKの秘密とは?地球上どこでも正しい時刻が分かる(3/3 ページ)

» 2014年06月28日 17時10分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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「ここまでやるのか」と驚いた

 カーナビであればGPS衛星の信号から自分の位置を割り出すことが重要だが、時計の場合、知りたいのは「時刻」だ。タイムゾーン受信モードでGPS衛星から時刻情報を受信するとき、いかに消費電力を抑えるか? GPW-1000ではこの課題をクリアするために面白いアプローチをしている。

 「GPS衛星から送られる信号を受信して時刻を知ろうとする場合、位置と時刻の両方を知りたい場合は衛星を4つ捕まえる必要がありますが、自分の位置を割り出す必要がなく時刻だけを知りたいなら、衛星を1つ捕まえるだけで済みます。時刻だけを取得するなら約6秒ですが、位置を取ろうとすると最低30秒はかかります。受信時間が短ければ短いほど消費電力が抑えられます」(ソニー デバイスソリューション事業本部アナログLSI事業部コミュニケーションLSI製品部 干台岳氏)

 GPSチップ側から見ると、4つの衛星を捕まえるということは4つの受信チャンネルを使うということであり、捕まえる衛星が1つだけなら1チャンネルで済むため、消費電力を大きく減らすことができる。GPS衛星を捕まえる数を減らし、受信する信号をできる限り短くすることにより、GPSチップが使う電力を最小限に抑えているのだ。

 この他にもCXD5600GFには、汎用品よりもクロックを落とす、受信チャンネルごとにロジックの回路を制御する、負荷に合わせて動作シーケンスを最適化する、回路ブロックごとに電源を制御する……など、省電力化のための工夫がさまざまに凝らされている。

 GPW-1000が実現したのは、カシオとソニーが緊密なコミュニケーションをとり、キーデバイスであるCXD5600GFの省電力化に取り組んだからだとカシオの担当者は話す。そしてソニーのエンジニアも「自分たちももちろん低消費電力化には取り組んできたが、レベルが違った。『ここまでやるとは』と驚いた」と話していたのが印象的だった。

 カシオとソニーの努力とアイデアが込められたGPW-1000。発売日は7月26日とのことなので、実際に試せる日が楽しみだ。

GPW-1000
GPW-1000で時刻を取得する方法

G-SHOCK「GPW-1000」

  • 主な性能:耐衝撃性能、耐遠心重力性能、耐振動性能、20気圧防水
  • 受信電波(GPS):1575.42MHz
  • 受信電波(標準電波):40kHz〜77.5kHz JJY(日本、福島局 40kHz、九州局 60kHz)、WWVB(米国 60kHz)、MSF(英国 60kHz)、DCF77(ドイツ 77.5kHz)、BPC(中国 68.5kHz)
  • 電波受信方法(GPS):時刻受信(自動、手動)、位置受信(手動)
  • 電波受信方法(標準電波):自動受信(最大6回/1日、中国のみ最大5回/1日)
  • ワールドタイム:世界27都市(40タイムゾーン、サマータイム設定機能)+UTC(協定世界時)の時刻表示、2都市時刻同時表示
  • ストップウオッチ:1/20秒計測、24分計
  • タイマー:セット単位 1分、最大セット 24時間、1秒単位で計測
  • アラーム:時刻アラーム1本
  • 使用電源:タフソーラー(ソーラー充電システム)
  • 連続駆動時間:パワーセービング状態で約18カ月(暗所で一定時間が経過すると運針を止めて節電)
  • サイズ:66.0×56.0×18.8ミリ(縦×横×厚さ)
  • 重量:約126グラム

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