GPW-1000に搭載されているGPSチップは、2013年2月に発表されたソニーの「CXD5600GF」(参照リンク)。これはソニーが初めてスマートフォンなどのモバイル機器向けに設計した低消費電力なチップだが、今回腕時計に搭載するにあたっては両社で大幅なカスタマイズを施したという。ポイントは、ソーラーウオッチで動かすためのさらなる低消費電力化と、時計で使うためのソフト面のチューニングだ。
GPS時計と電波時計を比較した場合、以下のような違いがあるという。
- 受信時間:GPSは標準電波よりも受信時間が短い
- 消費電力:標準電波はGPSよりも消費電力が小さい
- 対応地域:GPS(広い) >標準電波(狭い)
使えるエリアの広さも、受信にかかる時間の短さもGPSのほうが優れているが、消費電力が大きい。電波時計とハイブリッドにすることで、この課題を解決できる――それがハイブリッドにする最大のメリットだという。普段は消費電力が少ない標準電波受信で時刻を合わせ、ユーザーが任意で時刻修正を行いたいときや、標準電波が受信できない時はGPSで時刻合わせを行う。こうすることで、消費電力が少なくて済むのだ。
腕時計に載せるにあたり、カシオの依頼を受けたソニーは、CXD5600GFに「時刻受信」と「タイムゾーン受信」という2つの受信モードを持たせた。
「時刻受信」は、GPS電波から送られてくるデータの中から、時刻情報だけを取得するモード。「タイムゾーン受信」は、3つ以上のGPS衛星から送られてくる情報を使ってユーザーの現在地を算出し、その国のタイムゾーンを取得するモードだ。ユーザーはタイムゾーン受信をすることにより、自分が今いるタイムゾーンを調べる必要なく、自動でその国の時刻に修正できる。また同時に、その国が標準電波エリアかどうかという情報も取得できる。
CXD5600GFはフラッシュメモリとつながっており、この中にはカシオが作った2600メガピクセルの世界地図が入っている。1ピクセルは1辺500メートル四方の地図に相当し、各ピクセルの中にはタイムゾーン情報(UTC+40タイムゾーン対応)、サマータイム情報、電波対応地域かどうかという3つのデータが格納されている。このため、CXD5600GFでGPS信号を受信すると、この地図情報と照らし合わせていま自分がどこのタイムゾーンにいるのかを自動判定し、GPSで取得した時刻情報を元に時刻合わせをすることができる……という仕組みになっている。
カーナビなどでおなじみのGPSだが、「複数のGPS衛星の電波信号を受信することで、受信側の位置を算出する」というのが基本原理。実はGPS衛星の中には原子時計が入っており、それぞれが非常に正確な時刻情報を持っている。この時刻情報は、他のデータと一緒に衛星から地上に送信されている。つまり、GPSから送られた情報を受信すると、受信した側は自分の「位置」と「時刻」の両方が分かるのだ。
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