アルファ ロメオ ジュリエッタを、新春のみなとみらいで試した試乗インプレッション(2/2 ページ)

» 2012年01月20日 17時41分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]
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スプリントはソフト目な乗り心地

 次に、ベーシックグレードのスプリントに乗り換えて、市街地を中心に走ってみる。スプリントの内装の一部は、ボディーカラーと同色でコーディネートされており、ブラックとグレー基調のスポーティな演出を施しているコンペティツィオーネの内装と比べると、かなりカジュアルな雰囲気を醸し出している。

ジュリエッタ アルファ ロメオ ジュリエッタ スプリント

 もちろん、違いは内装デザインだけではない。乗り味の面でも、かなりはっきりとした違いが感じられる。特に、足回りのセッティングとタイヤサイズの違いに起因する乗り心地の違いは大きい。スプリントのサスペンションセッティングは、コンペティツィオーネと比べるとかなりソフト。また装着するタイヤも、コンペティツィオーネが17インチなのに対して16インチ。そのおかげで、かなりソフトな乗り心地だ。

 この乗り心地の違いは、街乗りレベルでも顕著に表れる。ちょっと強めにブレーキを踏み込むと、コンペティツィオーネより明らかに大きくノーズダイブする。スポーツ走行よりもタウンユースを前提とした仕様になっているのは明らかだ。街乗りや家族ドライブを中心に考える人であれば、恐らくコンペティツィオーネよりスプリントの方がニーズにマッチするだろう。

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気になるのはアイドリングストップの挙動

 街乗りで気になる点が1つだけあった。アイドリングストップ機構だ。スプリントとコンペティツィオーネには、「START&STOPシステム」というアイドリングストップ機構が装備されている。このシステム、停車時のエンジン停止の動作は極めて自然なのだが、エンジン再始動時にほんの若干ではあるがタイムラグを感じる。

 セルモーターを回してエンジンを再始動する以上、ある程度のタイムラグがあるのは止むを得ないのだが、例えば大きな交差点での右折待ち。ハンドルの操舵角をチェックするような制御はされていないので、エンジンが自動停止する。それゆえ、「今だ!」とアクセルを踏み込んだときに、思いどおりのタイミングでクルマが動き出さないことがある。また、坂道発進でも、エンジンが再始動するまでのほんのわずかな間に、車体が若干後退してしまいヒヤッとすることがある。

 このような状況では、アイドリングストップをキャンセルしておくと良いだろう。エンジン停止中に「D」の位置に入っているシフトレバーを左へ傾けると、強制的にエンジンを再始動できる。また、定常的にSTART&STOPシステムを無効化するスイッチも用意されている。この辺りの使い分けには、若干の慣れが必要だろう。

クアドリフォリオ ヴェルデの強烈な低回転トルク

 最後に試乗したのが、スポーツグレードのクアドリフォリオ ヴェルデ。搭載するエンジンは、1742ccで235馬力を発生する「1750直噴ターボエンジン」だ。燃料直噴システムにインタークーラー付ターボユニット、それに可変式デュアルバルブタイミング機構など、先端技術が惜しみなく投入されている。このエンジンと組み合わされるミッションは、6速MTのみの設定となっている。

ジュリエッタ
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 今回の試乗ステージでは、残念ながらこのエンジンのパフォーマンスをすべて出し切るような走行はできなかったが、それでもその高いパフォーマンスの一端を垣間見ることはできた。特に、低回転時からターボによるトルクを発生させ、ターボラグを解消させる「スカベンジングコントロールシステム」の効果は、低速走行時でもはっきりと体感できる。このエンジンの最大トルクは、D.N.A.システムの走行モードがNモードのときには300ニュートンメートル/4500rpm。しかしDモードでは何と、1900回転時に340ニュートンメートルを発生する。

 このDモード時の低回転トルクは、なかなか強烈だ。市街地走行の発進時には、アクセルとクラッチワークに気を遣わないと、うっかり急発進してしまいそうなぐらいだ。その気になれば、ホイールスピンさせながらの発進もごく簡単にできてしまうかもしれない。ちなみに、しばらくDモードで走行した後、Nモードに切り替えてみたのだが、その途端に発進でエンストしそうになった。それぐらい、低回転時のトルクの出方にはっきりした差がある。

 また、少し高めのギアを選んで低回転で巡航している状態からでも、ちょっとアクセルを踏み込むだけですぐにトルクが盛り上がり、ぐいぐい加速していく。スポーツタイプのエンジンというと「高回転型」という偏見を持っていたが、これも今や改める必要があると思い知った。

 ちなみに、日本で販売されるジュリエッタは、限定車を除きすべてのグレードが右ハンドル仕様となっている。当然、今回試乗した車もすべて右ハンドルだったが、若干ペダルセットが左寄りにセットされているようだ。ATミッションのスプリントとコンペティツィオーネのドライブではまったく気にならなかったが、クラッチ操作を伴うクアドリフォリオ ヴェルデでは気になるところ。左足周りのスペースが狭く、フットレストも装備されていないため、国産のMT車から乗り換える人にとっては違和感があるかもしれない。

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