アルファ ロメオ ジュリエッタを、新春のみなとみらいで試した試乗インプレッション(1/2 ページ)

» 2012年01月20日 17時41分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]
ジュリエッタ アルファ ロメオ ジュリエッタ

 アルファ ロメオ ジュリエッタ(Alfa Romeo Giulietta)が、いよいよ2012年2月4日から日本に導入される。ジュリエッタは、同社が2010年5月から本国イタリアを皮切りに欧州市場に投入したCセグメントに属する主力モデルの1つ。

 車格としてはアルファ ロメオ 147の後継モデルに当たる。1980年代に消えてしまったかつての名車「ジュリエッタ」の名前を復活させたことからも、このモデルに対する意気込みの高さがうかがえる。

 日本国内で販売されるジュリエッタのグレードは3タイプ。1.4リッター直列4気筒マルチエア インタークーラー付きターボエンジンと6速デュアルクラッチATを搭載したベーシックグレード「スプリント(Sprint)」とスポーティグレード「コンペティツィオーネ(Competizione)」、そして1742cc直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンと6速MTを組み合わせたスポーツモデル「クアドリフォリオ ヴェルデ(Quadrifoglio Verde)」だ。

アルファ ロメオ ジュリエッタのラインアップ
グレード エンジン トランスミッション 価格
スプリント(Sprint) 1.4リッター ターボ マルチエア 6速デュアルクラッチ 318万円
コンペティツィオーネ(Competizione) 358万円
クアドリフォリオ ヴェルデ(Quadrifoglio Verde) 1750 直噴ターボ 6速MT 388万円

 前モデルの147が日本国内で好評を博したこともあり、アルファ ロメオファンのみならず、多くの自動車ファンがジュリエッタに注目していることだろう。今回、国内発売前に3グレードすべてに試乗する機会があったので、その乗り味をレポートしよう。

スポーティでも固さを感じないサスペンションセッティングの妙

 まず、試乗したのはコンペティツィオーネ。ベーシックグレードのスプリントと同じパワートレインを搭載するが、サスペンションはスポーティなセッティングが施された。タイヤもスプリントの16インチに対して、17インチを装着する。またブレーキもスプリントより大口径のローターディスクを搭載し、フロントにはブレンボ製の4ポッド式アルミ軽合金キャリパーを装着する。

ジュリエッタ
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 ちなみに、ジュリエッタはすべてのグレードで「アルファ ロメオ D.N.A.システム」(以下、D.N.A.システム)と呼ばれる、アルファ ロメオ独自の走行モードを備えている。スポーツ走行用の「D:ダイナミック」、市街地走行用の「N:ノーマル」、滑りやすい路面用の「A:オールウェザー」の3つの走行モードから任意のものを選ぶと、それに応じてエンジンの出力特性やステアリングフィール、スタビリティコントロールの設定などが自動的に切り替わるという仕組みだ。

 まずは、Nモードに設定して横浜・みなとみらい地区を走行してみる。第一印象は、非常に落ち着いた乗り味だということだ。アルファ ロメオのスポーティグレードということで、もっとはっきりした個性を打ち出しているかと思いきや、どちらかというと上品な印象を受けた。キャビン内の静寂性は、かなり高い方ではないだろうか。エンジンサウンドは若干室内に入ってくるが、4気筒らしからぬ(?)低音の落ち着いた音だ。ロードノイズも、かなり効果的に遮断されているようだ。

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 最も印象的だったのは、足回り。スポーティグレードということで、ある程度固めのセッティングになっているのだろう。フワフワした感じは一切ない。にもかかわらず、固さをほとんど感じないところが、この車のセッティングの妙だ。例えば、ちょっとした段差を越えたときなど、実にうまく振動をいなしてくれる。かなり荒い路面を走っても、下から突き上げてくるような不快な衝撃はほとんど感じない。石畳の多いヨーロッパの市街地を想定したセッティングなのかもしれない。

 コーナリングも非常に安定している。わずかにロールしながら、足回りがしっかり動いて追従する感覚が伝わってくる。「粘り腰」とでも言おうか。多少荒めにステアリングを振っても、狙ったとおりのラインをスムーズにトレースしてくれるので、何だか急に運転がうまくなったかのような錯覚に陥る。

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スムーズな変速のデュアルクラッチ「Alfa TCT」

 今度は、D.N.A.システムの走行モードをDモードに切り替えて走行してみる。コンペティツィオーネとスプリントに搭載されたエンジンの最大トルクは、Nモードでは230ニュートンメートル/2250rpm。これがDモードになるとオーバーブーストが掛かり、250ニュートンメートル/2500rpmに向上する。

 この変化は、高速走行時はもちろんのこと、市街地走行でもかなりはっきり体感できた。発進時に、少し多めにアクセルを踏み込んでやると、明らかにトルクが増していることが感じられる。キャビンに入ってくるエンジン音からも、オーバーブーストが掛かっていることがはっきりと分かる。またDモードでは、パワーステアリングのアシスト量が減り、ステアリングの手応えをよりはっきり感じられるようになる。個人的には、このDモードのステアリングフィールの方が、Nモードのそれより好みだと感じた。

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 このエンジンと組み合わされる6速ATミッション「Alfa TCT」にも、非常に洗練された印象を持った。デュアルクラッチ方式ならではのダイレクトな加速感と同時に、非常にスムーズな変速も両立させている。発進時にアクセルペダルを踏み込む量によっては、1速から2速へシフトアップする際に若干の変速ショックを感じることはあるが、それ以外ではほとんど変速ショックを感じることなく、実にスムーズにシフトアップしていく。

 面白いと感じたのが、減速時のシフトダウンの挙動だ。多めにアクセルペダルを踏み込んだ状態からふっとアクセルを抜くと、少し早めのタイミングで順次シフトダウンが行われていくため、エンジンブレーキがかなり効いてくれる。ATでこれだけはっきりエンジンブレーキが効くというのは、ほかの車ではこれまであまり経験したことがない感覚だ。

 高速道路での走行は、極めて安定している。特に、直線安定性に関しては非常に高いレベルにあると感じた。時速100キロ程度のスピードでは、ドライバーにストレスを与えるような挙動は一切発生しない。不快な振動やロードノイズもさほど入ってこないため、気が付くといつの間にかスピードを出し過ぎている、そんな感覚だ。

 アウトバーンなどでの超高速巡航を意識した、ヨーロッパ車ならでは高速走行性能なのだろうか。もちろん、試乗ではアウトバーン並みの超高速域を実際に試すことはできなかったが、ジュリエッタのスピードメーターには時速260キロまでの目盛りが刻まれている。

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