この車に長時間乗って、一番驚いたこと。それは、「意外と足回りは良くできている」ということです。ちょっと硬めのセッティングですが、予想以上にサスペンションの動きは良い。
しかし、大きな問題は「剛性」。お世辞にも良いなんていえません。ヨレヨレという言葉が一番似合う。ひどすぎる。
実は、この車に乗り込んだとき、センタートンネルがないことに気づき、「あれ? 剛性に自信あるのかな?」と期待したのです。センタートンネルは、FR車のドライブシャフトを通すものだと思われがちですが、実は剛性にも大きく影響します。
少し前までの車をみると、FFでもこのセンタートンネルが存在する車がほとんど。それは、剛性を上げるためなのです。筆者の中で「センタートンネルがない車は、剛性に自信があるから」と思い込んでいる節があったので、今回も期待したのですが、それは見事に裏切られました。ボディやシャシーが、まったくサスペンションの動きを受け止められていない感じです。そのせいで、足回りがバタバタとばたつく印象になります。
おまけに、コーナーを曲がれば車がグニャリとよれるのが気持ち悪い。車のことをよく分からない筆者の嫁さんまで「この車なんか気持ち悪い」という始末。いくらコスト削減とはいえ、この調子でいくと開口部や空間の大きいプリウスαがすごく心配です。
この車で一番許せないところがハンドルの軽さ。とにかく軽いのです。指一本でラクラク回る。車を駐車場に止めるときなどは良いのですが、高速道路を走ろうもんならハンドルが軽すぎて怖い。走りがまったく安定しない。電動パワステを採用しているのだから、車速に応じてハンドルの重さを変化させることくらい簡単にできるはず。そのくらいの工夫はしてほしかった。
約700キロのドライブを終えて、実燃費を計測するとリッター21.5キロ(燃費計では23.2キロ)。45リットルしか入らない燃料タンクで700キロも走れてしまうことがとにかく驚きです。
給油を月に1回しかいないという人が多いと営業マンに聞きましたが、それは確かな情報のようです。持ち主に聞いたところ「これでも悪い方だよ」と。ハイブリッドカーを所有したことのない筆者に言葉はありませんでした。
総合的に考えて、「この車はありか、なしか?」と聞かれたら「あり」と即答します。売れてるだけの価値はあると思いますね。アクシオやアリオンと比べて約20万円差と書きましたが、ハイブリッドカーは税金の優遇もあるので、実質の金額差は少なくなります。
価格が実質ほとんど変わらず、エンジンは力強いし、燃費はいいし。そりゃ、プリウス売れますよ、ほんと……。でも、筆者がこの車を買うならボディ剛性の強化パーツは確実に入れちゃいますけどね。あ、いじること前提の車なんてやっぱり「なし」かな(笑)
もう1つ忘れてはならないのは、この車はかなり癖のある車だということ。「車というより電車ですか?」っていうくらい違和感があります。この違和感は、とにかく試乗して体験する必要があります。一度も乗らないで買おうなんて、この車に関しては絶対にしない方がいいです。それに、試乗すればほかにも色々なことが分かるかもしれません。なぜなら、車は乗らなきゃ分からないことだらけなのだから。
グレード | プリウス S"ツーリングセレクション" |
---|---|
価格 | 252万円(2011年11月現在) |
サイズ | 4480×1745×1490ミリ(全長×全幅×全高) |
燃費 | ガソリン1リットル当たり30.4キロ(JC08モード) |
エンジン最高出力 | 73キロワット(99馬力)/5200rpm |
エンジン最大トルク | 142ニュートンメートル/4000rpm |
モーター最高出力 | 60キロワット(82馬力) |
モーター最大トルク | 207ニュートンメートル(21.1キロ) |
最近では、αの人気に押されて、プリウスの販売台数は若干落ちているようです。でも、最近「NEWプリウス!」なんてCMも始まり、マイナーチェンジが施されたようです。PHV(家庭用電源で充電ができるハイブリッド車)も間もなく発売されるみたいだし、アクアなんて、小さなプリウスも登場する予定。トヨタのプリウス攻勢がハンパないですね。独り言だから書いちゃいますけど、筆者はトヨタの何でも80点を狙う車づくりの姿勢が嫌い。そんな筆者でも、買ってもいいかな?と、思わせるプリウスはほんとすごいと思います。
Special
PR注目記事ランキング