第54鉄 乗り物いっぱい富士山めぐり(前編) 富士登山電車とオープンバス杉山淳一の+R Style(3/4 ページ)

» 2011年10月08日 12時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

富士山が見えなくても楽しいゾ

 富士急行はJR中央本線の大月駅と富士山駅の23.6kmを結ぶ大月線と、富士山駅と河口湖駅の3.0kmを結ぶ河口湖線を運行している。富士山駅は長らく富士吉田駅という名前だった。その富士吉田駅が2011年に富士山駅と改名し、駅のデザインも一新されている。富士急行のほとんどの列車は大月駅から河口湖駅まで直通運転しており、富士登山電車も同様だ。所要時間は約1時間。ほんとうはもっと長く乗っていたい。快速運転が恨めしい。

 落ち着いたインテリアの客室で、田園風景を眺めながらの列車の旅。客室中央の座席が横向きになっている理由は、こちらの方向に富士山が見えるから。もっとも今日はあいにくの曇天で、もっともよく見える地点でも灰色の空ばかり。残念だったけれど、女性アテンダントさんが「晴れていればこんなふうに見えるんですよ」と写真パネルを掲げてくれた。この風景を思い出にして、次回は晴天の日を選ぼう。

 アテンダントさんは観光案内をしたり、乗客のデジカメやケータイで記念撮影を手伝ってくれたりと乗客のお世話をしてくれる。記念品の販売も担当する。人のサービスがあるだけで、旅がとっても優しい雰囲気になっていた。

ゆったりとラウンジでくつろぐ
車窓から山梨リニア実験線の軌道が見えた
峡谷の景色も楽しめる

鉄なスポット、下吉田駅

 富士登山電車は下吉田駅で長めに停車する。平日の停車時間は数分だが、休日は18分。その間に先頭車で記念撮影したり、駅舎を見学できる。この駅も水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアルされているというわけ。待合室がガラス張りになっている理由は、ここから富士山を眺められるからだという。

 見どころは建物以外にも。駅舎の隣にはブルートレインとして活躍した14系寝台車が保存されている。これはかつて、東京と大分を結んだ寝台特急『富士』にも使用された車両で、『富士』つながりで当地に保存されている。構内には他に貨車が3両。屋根付き2両、屋根なし1両で、こちらは実際に富士急行線で活躍していたという。説明書きによると、新聞雑誌、ビールなどの生活用品を運び入れ、地元特産の絹や木材を出荷したそうだ。富士演習場で使う戦車を運んだこともあったとか。貨車は室内も公開されており、往時の状況を物語っていた。

 富士山駅は行き止まり式の駅。列車はここでスイッチバックする。河口湖駅との間に富士急ハイランド駅がある。トーマスランドだけではなく、落下角度の大きさでギネス記録となったコースター『高飛車』など、スリル満点の乗り物もいっぱいだ。もっとも私はジェットコースターは苦手。鉄道に似ているんだけどなあ……。

下吉田駅で長めの停車。記念撮影や構内の見学ができる
下吉田駅で展示されている貨車
夏休みなどは貨車の室内も見学できる(11:00〜12:00、13:30〜15:30)
こちらはブルートレイン「富士」に使われていた客車で、富士つながりでここに保存されている。10:00〜16:00はテラスに入場でき、もっと近くで観られる(100円、鉄道利用者は無料:月曜定休)。

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