関西本線と並び、交差しつつアーバンライナーは快調に走っていく。沿線風景は住宅街だ。そろそろ四日市工業地帯だが、近鉄の線路は内陸部にあるので駅名を見るまで気付かないかもしれない。関西本線の下を潜って再び位置が変わり、近鉄が海側になる。このあたりが工業地帯の南端だ。このあと、日本でいちばん短い駅名の「津」を通過すると、アーバンライナーの見どころの1つ、伊勢中川の短絡線※を通過する。伊勢中川駅は近鉄名古屋線と近鉄大阪線が合流し、伊勢方面の山田線へ接続する駅だ。かつては名古屋と大阪を結ぶ列車は伊勢中川で停車し、進行方向を逆にしていた。それが不便だということで、伊勢中川駅を経由しない短絡線を作った。車窓左側に注目だ。近鉄名古屋線の線路と別れ、しばらく走ると近鉄大阪線と合流する。それだけのことながら、線路好きにはワクワクする風景である。
近鉄大阪線に入ってしばらく走ると車窓は山の里になる。ゴルフ場をチラ見すると山岳地帯に突入し、トンネルをいくつか通り抜ける。このうちもっとも長いトンネルは新青山トンネルの全長5652m。大手私鉄で最長距離だ。トンネルを出ると名張盆地、また山を越えて大和盆地。民間企業がよくぞこんな長い線路を敷いたと思う。近鉄大阪線の前身は参宮急行電鉄である。奈良の桜井から山を越えて三重の海岸まで線路を敷いて、大阪・奈良から伊勢神宮を直結しようとしたわけだ。国鉄経由は遠回りだったから勝算ありと判断したのだろう。
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