第17鉄 新幹線よりスローでリッチ!? 近鉄アーバンライナー杉山淳一の +R Style(2/4 ページ)

» 2009年11月07日 10時13分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 そしてもう1つ、アーバンライナーはデラックスシートが快適だ。JRで言えばグリーン車に相当するアッパークラス。飛行機で言えばビジネスクラスに相当する。なんと横3列の電動リクライニングシートになっている。窓は大きいし、座席は包み込むような造形で、固すぎず柔らか過ぎず。柔らかなヘッドレストの横にはLEDの読書灯が埋め込まれていて、この配置も絶妙だ。天井からのスポットライトは座席全体を照らしてしまうけれど、このライトは本を読む手元だけに届く。昼間は使わないものだが、夜は落ち着いた間接照明の演出を妨げない。

デラックスシートは3列シートでゆったり配置(左)。ひとり分の座席を注文するとひとり掛けシートが割り当てられるようだ。(右)
ヘッドレスト横のLED読書灯(左)。シートは電動リクライニング(右)

 こんな豪華な座席に乗るために、必要な差額はたったの410円である。さすが関西商人の心意気というべきか。いやいや、2670円もする某旧国営鉄道のグリーン車が高すぎると言うべきか。アーバンライナーのデラックスシートなら、1時間でも2時間でも長く乗りたくなる。

街から山へ、そして街へ。景色の変化が楽しい!

 アーバンライナーは津や四日市などに停まる列車もある。ところが近鉄名古屋発10時ちょうどのアーバンライナーは、大阪市の鶴橋駅まで停まらない。地下の近鉄名古屋駅を出るとすぐに地上に出て、車窓左手に関西本線とあおなみ線が並ぶ。このあたりはJRの車両基地や研修工場があって、鉄道好きには興味深い景色だ。あおなみ線が分かれても関西本線と並び続ける。八田の先で離れるものの、弥富で再び並ぶ。

 アーバンライナーは通過してしまうが、この弥富駅は海抜−0.93m。地上駅としては日本でもっとも低い駅である。もっともこれは隣接するJR弥富駅の記録で「近鉄弥富駅はJRよりも低い」という説もあるそうだ。もっとも近鉄はこの話に興味がないようで、測量をしていないという。

客室出入り口の液晶モニターに前面展望が表示される

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