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» 2015年05月22日 08時25分 UPDATE

従業員50人以上の事業所はすべて対象:ストレスチェック義務化、注意すべきポイントとは? (1/4)

12月から、従業員数50名以上の事業所に義務づけられるストレスチェック。いわば“心の健康診断”だが、企業はどのような対応をすればいいのだろうか? また受ける側も「結果を会社に知られるのが怖い」などの懸念があるのでは。ストレスチェックについて知っておきたいポイントをまとめた。

[山崎潤一郎,ITmedia]

 2015年12月から、従業員50名以上の事業所(後述)に対し「ストレスチェック」が義務付けられる。ストレスチェックとは、職場や仕事面における精神的負荷の度合いを調べる、いわば「心の健康検査」。現在も企業には1年に1回、フィジカルな健康診断が義務づけられているが、その「こころ版」といえる位置づけだ。

 ただし従業員個々のチェック結果の取扱いなど、ストレスチェックは健康診断とは異なる対応も求められるので企業は注意が必要となる。本コラムでは、「なぜ義務化されるのか」「ストレスチェックの実施体制」「ストレスチェックの実施方法」「結果の取扱」「組織分析」の大きく5つの疑問に分けて解説したい。

ay_sc005.jpg 厚労省が定める57項目の「職業性ストレス簡易調査票」

なぜ、ストレスチェックが義務化されるのか

 そもそもなぜ、ストレスチェックが義務化されるのだろうか。話は、民主党政権時代の2010年にさかのぼる。長妻厚生労働大臣(当時)の指示により厚生労働省が専門機関に依頼して発表したデータがある(参照リンク)。そのデータは、自殺やうつ病による社会的損失額が2009年の単年で推計約2兆7000億円に上ると推計している。2兆7000億円というと、トヨタ自動車の営業利益(2015年3月期決算)とほぼ同額だ。仮に、自殺やうつ病対策が的確に実施されていれば、2009年だけで日本を代表する巨大企業の利益と同じ額を失われずに済んだ計算になる。

 またこの推計では、自殺やうつ病がなくなった場合のGDP引き上げ効果についても推計している。それによると、約1兆7000億円のGDP引き上げ効果が見込めるとしている。ただしこの数字は、当時年間約3万1000人で推移していた自殺死亡者数がゼロになると仮定した数字なので、かなり無理のある試算であることは付け加えておかなければならない。

 これら社会的損失を問題視した厚労省は、心の健康検査導入に向けた取り組みを開始。平成25年度(2013年度)から始まった「第12次労働災害防止計画」の中に職場でのメンタルヘルス対策の実施を盛り込んだ。これによるとメンタルヘルス対策を実施する事業所の割合を平成29年度までに80%以上とする目標を掲げている。「平成25年度労働者健康状況調査」によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は60.7%に止まっており、今回の義務化により目標達成に向けて事業者の尻を叩こうという腹づもりだ。

うつ病などが原因で職場を去る人を減らす

 今回のストレスチェック義務化は、予防医学で言うところの「1次予防」を主目的としている。1次予防というのは「予防」の言葉通り、事態が悪化する前に手を打つこと、つまり、うつ病などメンタルヘルスの不調が原因で職場を離脱する労働者の数を減らそうという趣旨だ。

 具体的に言うと、事業所がストレスチェックの仕組みを提供することで、労働者自身にメンタルヘルス不調を自覚してもらい、うつ病などへ進行するのを未然に防止しようというものだ。今回のストレスチェックは、うつ病社員をあぶり出すのではなく、うつ病予備軍に自分自身のメンタルヘルスの兆候を知ってもらうことが主目的の検査といえる。

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