では、実際に従業員のストレスチェックを実施するために事業者としてどのような対応が迫られるのであろうか。厚労省は、去る4月15日「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(PDF)というガイドラインを公表した。その長いタイトルの通り、事業者が、12月の義務化に際し何をすべきなのかが示されている。
しかしこのガイドライン、非常に“霞が関的”な言い回しで書かれていて、一読してもすぐには頭に入らない。そこで本記事では、このガイドラインのポイントを抜き出して解説する。今回、原稿執筆に協力してくれたのは、ウェルリンク代表取締役社長の宮下研一氏。同社は、今回のストレスチェック義務化に完全対応した「総合ストレスチェック Self」(参照リンク)というサービスを提供している。
ストレスチェックの実施者は、「医師」ならびに「保健師」に加え、研修を受けた「看護師」または「精神保健衛生士」と定められている。ただ、実務は、社内に設置された「安全衛生委員会」が産業医や保健師等の指導や助言を受けながら実施計画を策定し、1年に1回以上ストレスチェックを行うことになる。
従来から、50人あるいは100人以上の事業所には、安全衛生委員会の設置と、産業医の選任義務が課されている(労働安全衛生法)。おそらくほとんどの会社では、法律に基づき総務部門がこれらの業務を担当・管理しているはずだ。
とはいえ、実務には精神科分野の専門的な知識が求められる。選任・委託している産業医が精神科医だとは限らないため、多くの場合では、健康診断同様に外部機関にストレスチェックの実施を委託するようになるだろう。外部機関への委託は問題ないとされている。前述のウェルリンクが提供する企業向けの健康サービスなどは、その一例だ。
以下、図のフローチャートから重要なポイントを抜粋して説明しよう。ストレスチェックをフィジカルな健康診断と同じタイミングで実施することも許されているが、注意すべきは、ストレスチェックの実施が義務化されているのは事業者の側のみで、従業員には受検の義務はないということ。ただし、受検していない従業員に、実施者の側から受検を勧奨することはできる。フィジカルな健康診断の場合、従業員の側にも受診の義務があるので、このあたりの違いには注意しておこう。
実際の受検は、従業員自身が専用のマークシート式の用紙(調査票)に回答する形で行われる。下記のような設問に対し、四択で回答する型式になる。設問の数は実施者(医者や外部機関)により異なるが、厚労省が定めた57項目からなる「職業性ストレス簡易調査票」(参照リンク)や、さらに簡易化された短縮版(23項目)が最低ラインとなるであろう。
仕事に意義・やりがいを感じる
1. あてはまる
2. まああてはまる
3. 少しあてはまる
4. あてはまらない
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング