米国だけではない。農業分野での衛星リモートセンシングの活用は欧州でも進んでいる。注目すべきはオランダだ。オランダの農地面積は日本の半分以下だが、農産物輸出額は米国に次いで世界2位の農業大国である。この背景の一因には、地球観測画像を活用した高度な農業支援サービスが存在する。
オランダは独自衛星を保有していないが、各国衛星画像を購入し、衛星リモートセンシングの商業利用とビジネスモデル構築に力を入れてきた。例えば、NSO(オランダ宇宙局)は政府資金で購入した各国衛星画像を100以上の省庁、企業、団体などに無償提供している。こうした結果、商業利用が進んでいる。その1つが農業分野というわけだ。
一例が蘭eLEAFである。同社は地球観測画像を利用した農業および水資源管理の支援を行っている。天候や温度などの現場データと衛星データを組み合わせることで、農業法人に対して、施肥時期や収穫時期などの情報を提供するソフトウェアや、灌漑管理支援のシステムを開発し、オランダ国内にとどまらず、中南米やアフリカなど世界30カ国に展開する。
このように、欧米でも衛星リモートセンシングの活用が進む背景にあるのは、農業を21世紀の社会課題としてとらえ、農業技術の高度化を支援し、市場をグローバルに広げるという戦略的イニシアチブの結果と言える。日本からもこうした取り組みやベンチャー企業が出てくることを期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング