渡辺: オープン前、私たちはドキドキしていました。「本当に売れるのか?」「どうなるんだろう」と。ところが、実際にフタをあけてみると、繁盛したんですよ。昼食や夕食時には、よく行列ができていました。
1982年に米国のロサンゼルスに「カレーハウス」をオープンしたのですが、そのときもドキドキしていました。当時、現地の人はお米を食べる習慣がありませんでした。お米だけでなく、カレーも食べる習慣がありませんでした。しかし、いざオープンしてみると、たくさんのお客さまが詰めかけてくれました。最初は日系人の同僚に連れられて来店する人が多かったのですが、その後リピートされる人が増えていきました。
お米を食べない、カレーを食べない人たちが日本式カレーに興味をもってくれたので、中国でも受け入れられるのではないかという思いもありました。
土肥: カレーハウスの店舗数は、その後増えたのですか?
渡辺: いえ。カレーハウスはアンテナショップの位置付けでした。「中国でカレーの需要がある」ということが分かったので、3カ店で閉店しました。その後、2002年にレトルトカレーを発売して、2005年にカレールーを展開していきました。
土肥: 看板商品のバーモントカレーが“切り込み隊長”として登場するわけですが、発売当時はどのような状況だったのでしょうか? レストランのときのように、お客が殺到したとか?
渡辺: いえ、そこまでではなかったですが、売り上げは伸びていきました。レストランの場合は「カレーを食べるぞ」という目的があって、来店されている。一方、カレールーの場合、材料を買って、家でつくらなければいけません。お客さまに購買モチベーションを高めてもらって、商品を買い物カゴに入れてもらわなければいけません。と同時に、材料も買ってもらわなければいけません。
そのときにお客さまが「あれが必要で、これが必要で、えーと……あと何が必要なのかなあ」と思い出しながら購入していてはダメなんですよ。なぜなら、考えるだけでカレーをつくるのが嫌になってしまうから。嫌にならないために、さまざまな施策を打ってきました。
土肥: どんなことでしょうか?
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