なぜ元経産官僚の古賀さんは「報ステ」降板に腹をたてたのか窪田順生の時事日想(4/4 ページ)

» 2015年03月31日 08時00分 公開
[窪田順生Business Media 誠]
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日本式経営が限界に達しているのはマスコミ

 では「自由」になるためにはどうするか。個人的にはマスコミ自身も「権力」になるしかないと思っている。といっても、ナベツネさんみたいなことを言っているのではない。高級官僚も一目置かざるをえない「スペシャリスト」になればいいのだ。

 日本のマスコミ記者はゼネラリストがゆえ、情報のサプライヤーである高級官僚にすり寄ってヤギになるしかない。専門知識をもったスペシャリストになれば、今のように必要以上に権力にすり寄る必要もなくなってくるのだ。

 簡単に言うけれど、具体的にはどうすりゃいいのさと思うかもしれないが、実は非常にシンプルな方法で解決できる。

 まず、記者はすべて専門分野を明確にして採用をする。そして、全国紙を廃止にするのだ。朝日新聞なんかもすべて都道府県ごとに分社化して、記者も営業も地域で採用して独立採算制にするのだ。

 いやいや、そんなことをしたら優秀な人材がとかなんだというが、メガバンクと併せてエントリーするような早稲田の政経卒みたいなエリートの若者よりも、その地域で暮らして、家族をもち、骨を埋めるという若者のほうがよほどいい仕事をするはずだ。なぜなら2〜3年で消える本社採用の記者には欠けている「責任感」があるからだ。

 本来、記者は技術職だ。技術にコミットするのではなく、権力にコミットする今のやり方を変えない限り、いつまでたっても報道自由度は上がらない。

 マスコミは日本の家電産業などが苦境に立たされているとして、企業のあり方をこうしたほうがいいとか、ここが足りんとか立派な提言をしている。なぜその厳しい分析眼を我が身に向けないのか。マジで不思議でしょうがない。

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