1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
報道ステーションの放映中に元経済産業省の官僚の古賀茂明さんがコメンテーター降板をめぐって古館伊知郎さんにかみついたことが話題になっている。
冒頭でいきなり、「テレビ朝日の早河(洋)会長と古館プロジェクトの会長のご意向で、今日が最後になりました」と切り出した古賀さんは、それはちょっと話が違うんじゃないのと諌(いさ)める古館さんに、会話を録音していたことを告げ、暗にテレ朝上層部が官邸からの「圧力」に屈したことを匂わせた。ダメ押しに最後は「I am not ABE」という紙まで広げていた。
一般人の感覚では、テレビ番組を降板させられるというのは単に「話が面白くないからでしょ」とか「数字がとれないからでしょ」なんて考える。だが、古賀さんによるとどうもそうではないらしい。それが事実かどうかはこれからジャーナリストのみなさんにしっかりと検証していただくとして、個人的には古賀さんがあのような発言をするのはごくごく自然なことだと思っている。
このコラムでも何度かお話をしてきたが、高級官僚はマスコミというものをかなり“下”に見ている。古賀さんと同じく「脱藩官僚」の高橋洋一さんが『さらば、財務省』(講談社)で書いているように、高級官僚から見みると、マスコミ記者というのは、何も知識がなく、官僚側が出すペーパー(情報)をくれくれとなんの疑いもなく食っている「ヤギ」のような存在なのだ。
私自身も新聞記者になった時、身内の官僚からまったく同じことを言われたことがある。ヤギをうまく飼いならし、自分たちの政策に合う記事を書かせることが官僚の仕事なのだ、と。
そんな風に飼いならしていた連中から、ある日突然切り捨てられる。飼い犬どころか家畜に手を噛まれたわけだ。古賀さんにとって、胸をかきむしりたいほどの屈辱だったということは容易に想像できる。自分を袖にするということは、他の「飼い主」に乗り換えようってことかというのは当然思う。ご存じのように古賀さんといえば反原発、反安倍の急先鋒。となれば、自分を裏切って霞ヶ関や官邸側に寝返りやがったなという疑心暗鬼になるのもよく分かる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング