人工衛星で写真が撮れるんですよ。えっ、それだけ? “営業活動”は苦労の連続仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(後編)(2/4 ページ)

» 2015年03月18日 08時15分 公開
[土肥義則Business Media 誠]

モールス信号が聞こえてきた

土肥: 2003年に人工衛星の打ち上げに成功されたわけですが、そのときはどんな感じだったのでしょうか? 「自分たちがつくったモノが飛んだぞーっ」と叫んで、仲間と抱き合ったとか。

中村: 昨日まで自分たちが触っていたモノが、宇宙に飛んでいったことが信じられなかったですね。毎日のように悪戦苦闘していたんですよ。「なんで動かないんだよ、なんで動かないんだよ」といった感じで。

 ただ、無事に宇宙へ飛んでいったのですが、涙は出なかったですね。最も感動したのは、宇宙から信号が届いたとき。ロケットから人工衛星が切り離されて、地球を何周か回って、日本の上空に来たときに、初めて信号を受信します。そのとき、信号が聞こえたきたときには本当に感動しました。

土肥: 信号ってどんなものなのですか?

中村: モールス信号です。「ぷぷぷー、ぷぷぷー」といった音。微弱な信号でも受信できるように、モールス信号にしました。人工衛星の名前、温度、電圧などの情報が送られてきました。

 開発をしているときには、大学の研究室に人工衛星が置かれていました。常に「ぷぷぷー、ぷぷぷー」というモールス信号の音が鳴っていたので、そのときは「うるさいなあ」と思っていたんですよ。夢の中でも聞こえてくるような感じで(笑)。でも、その人工衛星が打ち上がって、宇宙から聞こえてきたときには、ものすごくうれしかったですね。

 ロケットの開発に携わっている人たちは、そのロケットが打ち上がったときに感動する人が多い。でも、人工衛星に携わっている人は違う。宇宙からの信号を初めて受信したときに喜ぶ人が多いですね。

WNISAT-1の打ち上げ時(出典:ロシアのコスモトラス社)

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