実は企業の寿命を縮める劇薬? 本当は恐い「テレビで紹介されました」窪田順生の時事日想(1/4 ページ)

» 2015年02月03日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 よく中小企業の社長さんなんかと話をしていると、「テレビ番組で紹介されたるためにはどうすればいいんですかね」なんて相談を受けることが多い。

 メディアの仕事に携わっているので番組の制作に協力することもある。その縁でテレビ局のディレクターらとも少なからずお付き合いがあるので、彼らから教えてもらった“テレビウケするポイント”なんかをお伝えすることが多い。もちろん場合によっては、テレビ業界で力になってくれそうな人を紹介することもあるし、過去には実際に放映されるにいたったこともある。

 ただ、みんながみんなにそういう対応をするわけではない。

 相手によっては「さあ、どうすればいいんでしょうかねえ……」と言葉を濁す。といっても、好き嫌いでスッとぼけているわけではなく、その方が事業を立ち上げたばかりだったり、まだ経営が安定しているとは言い難い状況にあったりする場合、こういう対応をしているのだ。

 そう聞くと、なんて嫌なヤローだと思われるかもしれない。藁(わら)をもすがる思いで、テレビに紹介されたいと言っているんだから助けてやれよ。そんな声が聞こえてきそうだが、そういう風に切羽詰まっているからこそ私としては助けられない。

 みなさんの身近でも、「テレビに紹介されました」という色褪(あ)せた張り紙が貼ったまま、閑古鳥が鳴いているような飲食店はないだろうか。事業が軌道にのっていない者が「テレビ」で取り上げられても瞬間風速的に宣伝効果はあるが、実力が伴わないのですぐにその“反動”がきてしまう。しかも、もとの状態に戻るだけならば一時のお祭り騒ぎでいいが、予期せぬようなダメージを受ける場合もある。

テレビで紹介されると、予期せぬダメージを受けることも(写真はイメージです)
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