成功している経営者の多くは、「テレビに露出=マイナス面もある」ことをよく知っている。例えば、ガトーフェスタ ハラダという企業がある。言わずと知れた「ラスク」の超人気店で、全国の百貨店などは行列ができている。この企業がまだ群馬の小さな洋菓子店の時代からラスクを育ててきた、原田節子専務取締役が日本通信販売協会(JADMA)の広報誌に、このように語っている。少し長いが引用しよう。
――急に人気が出たというのは、メディア等で紹介されたなどのきっかけがあったからでしょうか。
原田 メディア経由ではなく私どもは確実にクチコミだけで広まっていったのです。というより、最初はメディアからまったく相手にされませんでした。ある百貨店の催事に出た時、隣のブースにテレビで紹介された店があって、すごい行列ができていたことがありました。その行列でうちのブースが隠れてしまうなど悔しい思いもして、正直うちもメディアで紹介されたらどんなに楽かなとうらやましく感じたこともあります。でも、今となっては逆にメディアに取り上げられなかったことが良かったと思っていますよ。
――それはどういうことでしょうか?
原田 テレビなどで紹介されて急に売れるようになると、生産設備も整わないままとにかく急ピッチで増産しなければいけないじゃないですか。あれは絶対に後でしわ寄せがくる。急いで設備投資をした途端"ブーム"が去って、結局、借金と遊んでいる設備しか残らないという話もよく聞きます。でも、私どもは本当にクチコミだけで伸びていったので一過性の流行ではなく、本当にうちの商品を欲しいというお客様に背中を押していただくような感じで設備投資をした。とにかくお客様の需要に対して満足していただきたい、売り切れですとお断りしたくないという思いが強く、設備投資が恐くなかった。
(JADMAニューズ2014年10月号より)
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