東京は上海に勝てるのか? モーターショービジネスを考える池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)

» 2015年01月23日 04時00分 公開
[池田直渡,Business Media 誠]

世界一輸入車が売れない国、日本

 そうなると心配なのは日本だ。日本は販売台数350万台と世界第3位。マーケットとしての魅力は十分あるように見える。しかし生産台数は860万台で世界第2位。結果として輸出超過はなんと400万台で断トツの第1位。2位韓国の290万台、3位ドイツの230万台に比べてもかなり突出している。

 バブルの置き土産で輸入台数のピークを叩きだした1996年でも40万台に届かない。1998年以降は反落してしばらく30万台を割り込んでいる。2010年以降にようやく成長を見せて35万台に再び手が届くかどうかという実情だ。輸入車に開かれているマーケット規模はひいき目にみてもオーストリアと同等で、順位にしたら24位相当だ。ここ数年の平均で見たら、25位のスイスや26位のスウェーデンといい勝負というところだろう。

 さらに、日本には海外自動車メーカーの工場がひとつもない。それは生産台数の全てが日本のメーカーのクルマに占められていることを意味する。

日本の自動車工場分布図(JAMAの地図を元に図版を制作)

 海外に工場を作るに際して人件費の高い日本を選ぶ必然性はないので、もちろん当然と言えば当然なのだが、結果として日本のマーケットは限りなく日本の自動車メーカーの独占状態にある。世界第3位のマーケットでありながら、日本は、海外のブランドにとって市場としての存在価値が極めて低いのである。

 モータリゼーションが発達した国の中で、日本は“世界一輸入車が売れない国”だ。もちろん安くて品質のいい国産車があり、競争力が高いという理由はある。しかし「東京モーターショーを国際格に」と考えるなら、もう少し海外メーカーにとって実りのあるマーケットであるとアピールしないと、海外メーカーがプロモーションを行う気にならないのも事実である。フランス、イタリア勢がデトロイトをスルーするように、海外の自動車メーカーが東京モーターショーを無視する流れはすでに始まっているのだ。

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