台湾でヒットしたのは代打「モスライスバーガー」……知られざる歴史に涙仕事をしたら"脇役”が主役になった(4/7 ページ)

» 2014年12月10日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

ライスバーガーを投入

モス: 「日本の味をそのままで」というコンセプトを掲げていたのですが、それがネックになりました。モスバーガーでは生野菜を使った商品が多いのですが、現地の人は生野菜を食べる習慣がなかったんですよ。今は食べる人が増えていますが、当時は多くの人が食べませんでした。また、テリヤキバーガーのソースは醤油と味噌のバランスを調整して作っているのですが、味噌の味が受け入れられませんでした。

 このままではいけないということで、日本で発売していた「ライスバーガー」を投入することにしました。モスバーガーは「日本の味をそのままで」というコンセプトなのですが、台湾の人の口に合うように工夫しました。例えば、現地の人はしょっぱさに敏感なので「焼き肉ライスバーガー」の塩味と酸味を薄くしたところ、大ヒットにつながりました。また「海鮮かきあげ」でも塩味の割合を減らしました。その一方で、ゴマ油が好きな人が多いので、ゴマ油の割合を増やすなどして、工夫をしています。

 また、台湾は外食文化でもあるんですよ。ある調査によると、朝食と昼食を外で食べるという人は8割以上。3食とも外食という人も多い。こうした習慣があるので「しっかり満腹感を得てもらおう」と考えて、日本のモノよりもコメの量を2割ほど増やしました。あと、現地の上級米を使ったことなども評価されました。

台湾で発売されている生姜焼きライスバーガー
台湾で発売されている海鮮かきあげライスバーガー

土肥: 当初は「日本の味をそのままで」というこだわりがあったのですが、現地の人の口に合うようにしたということですね。あと、食習慣に合わせてコメの量を増やし、そのコメは現地のモノにした。大きなポイントはこの3つのようですが、このほか日本のモノと違うことってあるのでしょうか?

モス: いえ、ないですね。味についてはライスバーガーだけでなく、他の商品でも調整しています。例えば、とんかつバーガーは日本でよく売れているのですが、台湾では全く売れませんでした。なぜかなあと思って理由を調べたところ、現地の人にはソースの酸味が強いことが分かってきました。なので酸味の割合を減らしたところ、受け入れられるようになりました。

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