現シニア世代を中心に、自身が生前に買っておく「生前墓」の需要が高まっている。一方、「相場がよく分からない」といった葬祭関連の不透明性の解決も課題だ。例えば、葬祭費用を明確にすると流通大手のイオンが2009年に葬祭仲介事業に参入し、葬祭費用の全般を価格帯別にパッケージ化した商品「イオンのお葬式」(関連リンク参照)を販売している。お布施はそもそも商品ではない、宗教行為に対する介入との反発があったり、あくまで仲介業であることを考慮すべき半面、相場を知る機会が少ない一般人にとって、値段やあやふやな部分の明文化は顧客本位と評価する声も高まった。客の意識も変わりつつある。
墓石の価格もそれに関連する。同調査で墓石の購入経験がある人へその価格に対する認識と納得感について問うと、36%が「相場も内訳もよく知らない」まま購入、31.2%が「内訳に懐疑的」、13.6%が「相場は知っていたが、内訳はよく分からない」と回答。一方、「相場を知っており、内訳にも納得感を持てた」は19.2%にとどまった。慣れない買い物とはいえ、十分納得した上で購入できたわけでない状況が伺える。
価格の明文化を望む需要にともない、最近は墓石を「ネットで買う」シーンもじわじわ増えているという。生前墓を希望する人に問うと、64.4%が「ネット販売も選択肢に入る」と答え、価格の明文化や安さ、配送など、ネット通販ならではの利便性や透明性を受け入れる体制が整ってきた。ただ、商品が商品なだけに、一般的なネット販売の手段では省かれがちな「サポート体制・問い合わせ対応を望む」(67.2%)、「信頼感・安全性」(58.6%)、「長期保証」(50%)といった、内訳や従来販売型のサポート体制を望む率も高かった。
ネット販売専業のお墓まごころ価格.Comはこうした事情をふまえ、「固定3プライス(60万円、80万円、120万円)で明文化」「余分なコストを省く」「地域の特性や慣習を熟知した職人が建てる」「専任のスタッフを配置」「すべてのお墓に10年保証」など掲げ、2013年度は開業年の2010年比で4倍以上の注文を受けた。注文の15%が生前墓だったとし、2014年上期の傾向から需要は増加しつつあるという。
(迷惑をかけると思っているので)自身で決めてしまう。一方、子世代はもっと相談してほしい。離れて暮らす家族の事情やコストメリットをふまえ、子世代の得意なネット利用とその方法は、家族とのコミュニケーションを交えた終活を意識でき、家族の意識差もなくせる手段の1つと同調査は位置付ける。
ネット手段の普及と家族のあり方の変化、そして今まで知り得なかった葬祭関連の値段の透明化を望む声が高まるにつれ、現代のお墓の買い方や終活の仕方も変わりつつある。お盆は「こういう方法もあるよ」と、子世代が親へ提案してあげるよい機会かもしれない。
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